営業係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
営業係数(えいぎょうけいすう)とは、100円の営業収入を得るのに、どれだけの営業費用を要するかを表した数字で、おもに鉄道路線やバス路線の経営状態を表す指標として使われる。100を下回れば黒字、上回れば赤字となる。
ただし、これは収入と費用の比、すなわち経営効率を表す指標であって、赤字や黒字の絶対額を表す指標ではない。例えば、営業係数が101の路線と300の路線があったとしても、赤字の絶対額は、「営業係数101の路線<営業係数300の路線」であるとは限らないので、取扱いには注意を要する。
[編集] ローカル線
日本国有鉄道(国鉄)などが赤字ローカル線(特定地方交通線)の廃止を進める際に、よく指標として用いたのが営業係数である。国鉄の財政状況が悪化した時期には、通勤五方面作戦をはじめとする莫大な投資を行っていた(極めて公共性の高い事業であったにも関わらず公的な支出は受けられなかった)こと、合理化が遅れていたこともあって、地方交通線はおろか幹線もほとんどが赤字であり、常に黒字を計上していたのは昭和50年代から国鉄末期には以下の線区くらいであったと言われる。
- これらの路線のうち、山手線や横浜線などの国電の路線は、環状線としての性格を持ち、放射路線と乗り継ぐための短距離利用者(初乗り運賃が占める割合が高く、キロ当たりの単価が高い)が多いため、黒字を計上しやすかった。
逆に、赤字線区の筆頭として取りあげられていたのは以下のような線区であり、営業係数が3000から4000を上回る路線もいくつかあった。それは乗客数(営業収入)が極端に少ないこと(分母が小さくなる)や、保線費用が除雪等のため多くかかること(分子が大きくなる)などが要因だった。
また、昭和40年代以前に廃止された路線では、以下のような路線が赤字線として知られていた。
[編集] バス
名古屋市交通局では市バス(公営バス)の赤字額が大きいため、毎年バスターミナルなどに各線の営業係数を示した表をはって、利用客に現状をアピールしたりもしている。