前立腺肥大症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
医療情報に関する注意:ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。 |
前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)は加齢とともに前立腺が肥大化する疾患。
目次 |
[編集] 概要
前立腺は解剖学的には膀胱の下で尿道を取り囲むようにして存在する臓器である。
前立腺から分泌される前立腺液は精液の構成成分で、体外に射精された精液中の精子を保護しエネルギーを補充する働きがある。年齢とともに生殖能力が必要でなくなるために、前立腺は萎縮するか肥大するかの二者択一の道を選ぶ。
昭和30年代(1955年代)ごろまでは、日本人男性のほとんどが前立腺は萎縮の経過をたどっていた。ところが、食生活の向上・欧米化により、現在では80歳までに日本人男性の80%が前立腺肥大症になるといわれている。
[編集] 症状
排尿障害が主症状で、それに付随して様々な排尿に関する症状が出現する。
- 排尿開始遅延:出るまでの息み時間が長いこと。
- 尿線細小:尿線が細く、チョロチョロしか出ない状態。
- 尿線分裂:尿が散るために便器を汚してしまう状態。
- 排尿終末時滴下:尿の最後の方がポタポタしか出ない状態。
- 残尿感:排尿直後にまだ出し足りない感じがすること。
- 尿意頻拍:常に尿意が襲ってくる状態。
- 頻尿:頻繁な尿意のために足繁くトイレで排尿すること。
- 夜間頻尿:就寝してから排尿のために、何度もトイレに足を運ぶこと。
- 尿混濁:黄色透明の正常な尿が混濁し汚れた状態。
- 血尿:尿中に血液が混じる状態。
- ED(インポテンス・勃起不全)
- 自律神経失調症
- 老化の促進
[編集] 検査
診断のためには、排尿障害の程度、前立腺の大きさ、前立腺癌との区別が必要になる。
[編集] 治療
患者の体力や社会的適応などにより、様々な治療法が選択される。日帰り手術(3~5)を選ぶ患者も多い。
- 内服薬:交感神経α遮断薬(商品名ハルナール・アビショット・フリバスなど)
- 注射薬
- 高温度治療
- レーザー光線治療:ILCP(前立腺組織内凝固術)、VLAP(ビデオ直視下前立腺蒸散術)
- 電気メス治療:経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
- 開腹手術
- 民間療法:ノコギリヤシ