万葉線
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万葉線(まんようせん)は、富山県高岡市と射水市とを結ぶ路面電車の路線通称、およびそれを運営する第三セクター方式の鉄道会社である万葉線株式会社のこと。
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[編集] 概要
万葉線は、正式には高岡駅前駅~六渡寺駅が軌道の「高岡軌道線」、六渡寺駅~越ノ潟駅が鉄道の「新湊港線」の2路線に分かれているが、一体の路線として運行されている。かつて越中国守として「万葉集」の編者である大伴家持が赴任し、数多くの歌を残したことに因んで、加越能鉄道時代の1980年(昭和55年)に「万葉線」という愛称が付けられた。
しかしながら、利用客が著しく減少し経営環境が悪化した事を理由に、この路線を運営していた加越能鉄道が廃止・バス代替の意向を示したため、2001年(平成13年)に高岡市・旧新湊市が中心となって第三セクター会社「万葉線株式会社」が設立され、2002年(平成14年)2月に加越能鉄道から事業譲渡された。路面電車を運営するための第三セクター会社は日本初である。
2004年1月21日より新形の超低床車両、MLRV1000形を導入、同年8月7日には第二編成を導入したが、導入当初よりポイントでの脱線やブレーキ故障が相次ぎ、同年9月30日より2005年(平成17年)3月13日まで長期間運休した。原因は車両の台車の車輪の間隔とされ、長期間の運休で損害を受けたとして車両の製造メーカの新潟トランシスと協議の結果、約325万円の支払いと車両部品の無償譲渡と言う条件で示談が成立している。この長期運休の影響を受けて、当初2005年、2006年度に各2本ずつを予定していた新形車両の導入は2005年度に関してはポイント整備などを優先させるために見送られている。
[編集] 路線
[編集] 運行形態
下記の通り運転されている。
- 高岡駅前~中新湊 運転間隔15分(早朝深夜は30分) 所要時間35分
- 高岡駅前~越ノ潟 運転間隔30分(ラッシュ時は15分) 所要時間41分
高岡駅前:始発6時15分 終発22時20分 越ノ潟 :始発6時30分 終発22時33分
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
万葉線の近年の輸送実績を下表に記す。輸送量は激減しているが、最近では下げ止まっている。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最低値を青色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1975年(昭和50年) | 110.0 | 92.1 | 176.1 | 378.2 | |
1976年(昭和51年) | |||||
1977年(昭和52年) | |||||
1978年(昭和53年) | |||||
1979年(昭和54年) | |||||
1980年(昭和55年) | 68.1 | 48.8 | 139.0 | 256.0 | |
1981年(昭和56年) | |||||
1982年(昭和57年) | |||||
1983年(昭和58年) | |||||
1984年(昭和59年) | |||||
1985年(昭和60年) | 47.3 | 34.0 | 110.5 | 191.8 | |
1986年(昭和61年) | |||||
1987年(昭和62年) | |||||
1988年(昭和63年) | |||||
1989年(平成元年) | 33.2 | 28.8 | 91.7 | 153.7 | |
1990年(平成2年) | 31.7 | 29.9 | 90.0 | 151.6 | |
1991年(平成3年) | 29.7 | 28.3 | 87.2 | 145.2 | |
1992年(平成4年) | 27.8 | 25.8 | 83.5 | 137.1 | |
1993年(平成5年) | 30.5 | 24.8 | 89.3 | 144.6 | |
1994年(平成6年) | 28.2 | 24.8 | 84.1 | 137.1 | |
1995年(平成7年) | 26.0 | 26.9 | 87.4 | 140.3 | |
1996年(平成8年) | 25.7 | 27.5 | 85.3 | 138.5 | |
1997年(平成9年) | 23.4 | 23.3 | 75.5 | 122.2 | |
1998年(平成10年) | 22.0 | 21.2 | 72.5 | 115.7 | |
1999年(平成11年) | 19.6 | 18.3 | 70.5 | 108.4 | |
2000年(平成12年) | 18.0 | 17.5 | 67.8 | 103.3 | |
2001年(平成13年) | 15.5 | 17.5 | 65.8 | 98.8 | 万葉線株式会社による運営開始 |
2002年(平成14年) | 14.2 | 16.7 | 69.4 | 100.3 | |
2003年(平成15年) | 13.6 | 16.9 | 73.1 | 103.6 | 新形の超低床車両導入 |
2004年(平成16年) | |||||
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
万葉線の近年の収入実績を下表に記す。収入総合計額は1995年(平成7年)ごろまで上昇していたが、その後年々減少している。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最低値を青色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1975年(昭和50年) | 87,429 | ←←←← | 126,021 | 2,319 | 215,769 | 7,233 | 223,002 |
1976年(昭和51年) | ←←←← | ||||||
1977年(昭和52年) | ←←←← | ||||||
1978年(昭和53年) | ←←←← | ||||||
1979年(昭和54年) | ←←←← | ||||||
1980年(昭和55年) | 105,387 | ←←←← | 175,996 | 1,539 | 282,922 | 6,441 | 289,363 |
1981年(昭和56年) | ←←←← | ||||||
1982年(昭和57年) | ←←←← | ||||||
1983年(昭和58年) | ←←←← | ||||||
1984年(昭和59年) | ←←←← | ||||||
1985年(昭和60年) | 97,198 | ←←←← | 189,769 | 0 | 286,967 | 9,075 | 296,042 |
1986年(昭和61年) | ←←←← | ||||||
1987年(昭和62年) | |||||||
1988年(昭和63年) | |||||||
1989年(平成元年) | 48,484 | 34,325 | 176,772 | 0 | 259,581 | 9,445 | 269,026 |
1990年(平成2年) | 47,961 | 37,637 | 180,774 | 0 | 266,372 | 10,005 | 276,377 |
1991年(平成3年) | 45,036 | 35,801 | 175,240 | 0 | 256,077 | 13,440 | 269,517 |
1992年(平成4年) | 44,118 | 34,150 | 175,594 | 0 | 253,862 | 9,237 | 263,099 |
1993年(平成5年) | 50,534 | 32,947 | 188,111 | 0 | 271,592 | 12,071 | 283,663 |
1994年(平成6年) | 48,932 | 34,743 | 183,551 | 0 | 267,226 | 11,032 | 278,258 |
1995年(平成7年) | 45,009 | 37,143 | 189,892 | 0 | 272,044 | 11,780 | 283,824 |
1996年(平成8年) | 44,640 | 38,285 | 185,360 | 0 | 268,285 | 14,388 | 282,673 |
1997年(平成9年) | 42,721 | 33,580 | 169,438 | 0 | 245,739 | 14,562 | 260,301 |
1998年(平成10年) | 39,808 | 30,583 | 161,559 | 0 | 231,950 | 9,680 | 241,630 |
1999年(平成11年) | 35,281 | 26,266 | 154,562 | 0 | 216,109 | 7,778 | 223,887 |
2000年(平成12年) | 32,176 | 24,982 | 143,932 | 0 | 201,090 | 7,378 | 208,468 |
2001年(平成13年) | 28,202 | 25,331 | 138,675 | 0 | 192,208 | 5,850 | 198,058 |
2002年(平成14年) | 24,611 | 21,439 | 145,985 | 0 | 192,035 | 8,139 | 200,174 |
2003年(平成15年) | 20,643 | 16,918 | 126,366 | 0 | 163,927 | 12,386 | 176,313 |
2004年(平成16年) | |||||||
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] 車両
万葉線の在籍車両は以下の通り。太字は冷房車。
- デ7000形
- デ7051(廃車)、デ7052、デ7053
- 1961年製造。富山地方鉄道7000形電車とほぼ同型だが、乗降扉が車端にある(設計をそのまま流用したため、中央扉を最後部に移設しただけのような外観で、車掌小窓がそのまま残された感じになっている)。なお当形式の番号が50番代から始まっているのは、当時富山地方鉄道射水線との乗り入れを行っていたことから先の7000形と番号が被らないようにしたためで、「7050形」と記述されることもある。
- デ7060形
- デ7061(廃車)、デ7062
- 1965年製造。7000形とほぼ同型だが、かつては射水線乗り入れ時に連結運用するための連結器があり、総括制御可能であったことから区別されている。
- デ7070形
- デ7071、デ7072、デ7073、デ7074、デ7075、デ7076
- 1967年製造。7000形・7060形とほぼ同じだが、設計を変更して側面中間部の車掌小窓がなくなり、すっきりした窓配置になっている。デ7072は加越能鉄道時代の1994年から車体正面にネコ、側面に十二支の動物の絵を描いた塗装がされている。これには「アニマル電車」という正式な愛称があるのだが、正面の絵柄から「ネコ電車」と呼ばれるようになった。
- MLRV1000形(アイトラム)
- MLRV1001-a・b、MLRV1002-a・b
- 2004年製造。超低床構造の2車体連接車。詳しくは当該記事参照。
- デ5010形(除雪車、車籍はなし)
- デ5022
[編集] 外部リンク
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