ミートボール
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ミートボール(英語:meatball)とは、別名肉団子(にくだんご)といい、ひき肉につなぎと調味料を入れて混ぜ、丸く成形してから、加熱した料理である。フライパンやオーブンで焼き上げるものの他、煮る物、蒸す物、揚げる物もある。つなぎには、パンやパン粉、卵、野菜や様々なスパイスが使われ、塩で粘りを出す。同じような料理が様々な国で作られているが、味付け、材料、加熱方法には国ごとの特徴がある。
形状の違いを除けば、材料や作り方はミートローフに良く似ている。また、形を扁平にすれば、ハンバーグとも近い。国によっては、ゆで卵を包み込む場合もある(例:スコットランドの「スコッチエッグ」、アフガニスタンの「ナルギス・カバブ」等)。
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[編集] 各国のミートボール
ミートボールは(Köttbullar)といい、牛と豚の合い挽肉に卵とパン粉、タマネギと水を加え、塩と胡椒で味付けしたものである。フライパンを使ってバターで焼き上げる。子牛の肉やレバーが使われることや、バターの代わりにラードで焼き上げることもある。
ミートボールを油で揚げた料理、Qofte të fërguaraがある。
ヘハックトバル(Gehaktbal)というが、合い挽き肉などに牛乳を加えてこね、大きめにまとめて焼くか揚げたのち、トマトソースなどと合わせたミートボールがある。
アルボンディガス(albondigas)といい、キャベツなどとトマトソースで煮込んだりする。なお、ミートローフは「アルボンディゴン」(albondigon)と呼ばれるが、これは「大きなミートボール」を意味する。
肉団子の名称には言語によってクフタ(アラビア語)、キューフタ(アルメニア語)、キョフテ(トルコ語)、コフタ(ヒンディー語)、クービデ(ペルシア語)等の差異があるが、楕円形の肉団子を平たい串に巻き付けて焼いたコフタ・カバブや肉団子を野菜と煮込んだ料理など、ほとんどの国が似通った肉団子料理を共有する。
中国語では「肉丸 ロウワン」という。中華風の甘いあんをかけたミートボールは、日本で人気のある弁当のおかずの1つであるが、本場中国で甘いミートボールというのはまれで、近いのは酢豚と同じ味を付けた「糖醋肉丸 タンツーロウワン」である。豚肉を主材料に、油で揚げて、塩味を付けた「脆炸肉丸 ツイジャーロウワン」や、甘くないたれで煮た「紅燒肉丸 ホンシャオロウワン」を食べる地域が多い。また、鍋料理の具としても、好まれている。豚肉のもの以外に、牛肉や鶏肉のものもある。
揚州の名物料理である「獅子頭 シーズトウ」は、テニスボールほどの大きさの巨大ミートボールで、なかに良く火が通るように、スープと共に蒸して作る。このため、軟らかく、また、スープにも濃厚な味が出て、美味となる。鎮江や南京では「劗肉 チャンロウ」という大きめで、甘辛いたれで煮たミートボールが食べられている。福州料理には、肉団子を魚肉のすり身で包み込んだつみれがある。香港では、中にスープ入り、噛むと汁が飛び出す「爆漿牛丸 バオジャンニュウワン」という物が作られて、映画の中にも登場するなど一世を風靡した。
台湾の彰化には肉団子を葛の様な透明の衣で包んだ「肉圓」(ロウユアン)という名物料理がある。
家庭料理として、トマトソースで煮込んだミートボールをスパゲッティにかけた「スパゲッティ・ミートボール」と小粒のミートボールを甘酸っぱいソースで煮込んだ「スウェーデン風ミートボール」(Swedish meatball)がよく知られている。前者はイタリア料理のミートソースが元になっているが、アメリカ人の嗜好に合わせ、ミートソースを肉団子にして肉の量を増やしたものである(アメリカ合衆国では、イタリアよりも安価な挽肉が手に入りやすかったことも理由のひとつである)。スパゲッティ・ミートボールのミートボールはイタリアの伝統的な肉団子「ポルペッティーネ」(polpettine)よりも大きく作られる。人によっては、つなぎを入れずに肉だけで肉団子をつくることも多い。
[編集] 大豆ミートボール
三育フーズのレトルト食品には、肉を使用せず大豆によって作った「野菜ミートボール」がある。
[編集] 派生義
太平洋戦争中、アメリカ等の連合国側が日本の「日の丸」を侮蔑的な意味を込めてこの名で呼んでいた。