ピアノ協奏曲 (グリーグ)
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エドヴァルド・グリーグのピアノ協奏曲イ短調作品16は、グリーグの作曲した唯一の協奏曲。1868年、デンマークのSollerodに訪問している間に作曲された、グリーグの初期の傑作である。
グリーグはその後出版社からの依頼を受け、1883年ごろに2番目のピアノ協奏曲を書こうとしたが書き上げられず(スケッチが残されている)、代わりにこの曲に何度も改訂を行っている。現在演奏されるのはグリーグの最晩年である1906~1907年頃改訂され、1917年に出版されたもの。初期版と曲想の大きな違いはないが、楽器編成が異なり、独奏と管弦楽譜で400か所以上の変更点が見られる。
数あるピアノ協奏曲の中でも、非常に人気のある曲である。
目次 |
[編集] 曲の構成
- 第一楽章 Allegro molto moderato イ短調 4/4拍子 ソナタ形式
- 印象的なティンパニのクレッシェンドに導かれて登場する冒頭のピアノの流れ落ちるようなフレーズは、「悲劇」をイメージさせるBGMとしてテレビなどでもしばし使われるなど非常に有名である。これは、フィヨルドの注ぐ滝の流れを表現したものともいわれる。第1主題は、オーボエからチェロに引き継がれる素朴な形で現れる。第2主題はいかにもグリーグらしい「静かに歌うような」旋律である。終結部のカデンツァでは、第1主題を分散和音で彩りながら、冒頭のフレーズを再現して終わる。
- 第二楽章 Adagio 変ニ長調 3/8拍子 複合三部形式
- 弱音器をつけた弦楽器が、柔らかい充実した和音の旋律を奏でる。第2部でようやく現れるピアノのパートは、この旋律を受け継ぎなら発展されるパッセージであり、印象的である。第3部は、管弦楽に支えられたピアノが主題を強奏し、なごりを惜しむかのように、次第に静かに消えていく。
- 第三楽章 Allegro moderato molto e marcato イ短調 2/4拍子 ロンドソナタ形式
- 第二楽章とうってかわって、軽快だがやや大規模な楽章である。中間部では独奏フルートが3連符を含む叙情的な第2主題を歌い上げる。終結部は、この第2主題を管弦楽とピアノで合奏し壮大な効果を上げる。
[編集] 編成
[編集] この曲に関して
グリーグのピアノ協奏曲は、よくロベルト・シューマンのピアノ協奏曲と比較される。(同じCDに収められて売られていることもよくある。)これは、両者とも同じイ短調で書かれた曲で、始まりの部分や作風がよく似ていることなどによるが、実際、グリーグはシューマンのピアノ協奏曲を1858年にクララ・シューマンの演奏で聴いていて、それに大きく影響を受けている。
1870年にグリーグと会見したリストが、彼の持ってきた手稿譜を初見で弾いて、第3楽章のある部分について「これが本当の北欧だ!」と絶賛したというエピソードがある。
「グリーグの主題が、シューマンの主題と音程関係が反行形になっている」ということを、自作品内で再解釈した作曲家に中澤久長がいる。該当作品は「降り注ぐ粒子 第一番」