ピアノソナタ第1番 (ショパン)
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フレデリック・ショパンのピアノソナタ第1番ハ短調Op.4は彼のワルシャワ音楽院在籍時の1828年に書かれた。しかしそれはソナタ形式習得のため、師であったヨゼフ・エルスナーにせがまれて書いたものであり、自主的に書かれたものではない。したがって後年のソナタのような、幻想的な独創性にも乏しく、形式を意識しすぎたためか、ぎこちないものである。曲は完成後すぐに発表の準備がされたが、出版社が拒否し、出版社が出版の意向を示したときは、ショパン自身がそれを拒否したと言う経歴を持ち、したがって4番という作品番号が与えられているものの、陽の目を見たのは作曲者の死後の1851年になってからである。今日では滅多に演奏されることがなく、ソナタ全集にも組み入れられないのが一般的である。
目次 |
[編集] 曲の構造
[編集] 第1楽章 Allegro maestoso
- ヨハン・セバスティアン・バッハを意識したようなモティーフが提示され、それが対位法的に展開され、半音階を多用し複雑な転調を繰り返すが、曲はそれだけに終始するため、主題の対比は薄く、ショパンらしいメロディックな部分はほとんど見られない。ただし、主題再現は一全音低い変ロ短調で始まり、最後になってやっとハ短調になるという、凝った展開を見せる。
- 後年の作品では再現部に第一主題を再登場させない。第一主題をどのように再現するかはモーツアルトも意を凝らしている。ハ長調のソナタでは再現部をヘ長調とすることで冗長さを避け、簡単なソナタに思わぬ新規発想を盛り込んでいる。シューベルトも最初のピアノ組曲(五つのピアノ曲ーホ長調)で再現部にホ長調の第二主題をあらわすなど初期ロマン派の苦闘の跡が伝わってくる。
ショパンの本作も冗長未熟の謗りはあるが作曲技法が発展成長する上での通過儀式であり、演奏頻度が低いから即ち無価値というものではない。後年のソナタ形式を超越した様式への記念すべき成長記録である。
[編集] 第2楽章 Menuetto,Allegretto
[編集] 第3楽章 Larghetto
- 4/5拍子という、珍しい拍子(スラヴ民謡などで使われる)で書かれていて、この曲の中では唯一成功した楽章といわれる。ショパンらしい装飾などが見られる。4/5拍子は土着の緩いワルツで後にチャイコフスキーが交響曲の中で用いている。ポーランドの民俗舞踊を作中に取り入れる姿勢は、フランスに移住した後のマズルカ、ポロネーズ諸舞曲の傑作に明らかである。左手部に見える音階は後の作によく引用されている。作曲家・演奏家は未熟な作と決めつけて判断せずに表現細部を研究する必要がある。