パーキンソン病
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パーキンソン病(-びょう、英Parkinson's disease)は、脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候を示す病気の一つ。本疾患と二次性にパーキンソン病と似た症状を来たすものを総称してパーキンソン症候群と言い、本症はパーキンソン症候群を示す病気の一つ。神経変性疾患の一つ。
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[編集] 疫学
30代~80代まで幅広く発症。
中年以降の発症が多い。 20歳代の発症は、まれである。
非対称性に発症する。 5段階の病期分類がある(Hoehn-Yahr分類)。
[編集] 症状
- 静止時振戦(手のふるえ)(resting tremor) 安静よりも、むしろ精神的な緊張で増強する。動かそうとすると、少なくとも一瞬は止まる。書字困難もみられる。
- 筋強剛(筋固縮)(rigidity)
- 無動(仮面様顔貌、すくみ足)(akinesia)
- 姿勢保持反射障害(postural instability)(前傾姿勢、小刻み歩行、加速歩行)
の4つを主徴とする。
初めは、たいてい左右差がみられる。
また自律神経症状(便秘、起立性低血圧)やうつ症状、痴呆を合併する場合が多い。 仮面様顔貌、マイヤーソン徴候なども診断の参考になり、L-dopa剤が奏効することが特徴である。
[編集] 病理
肉眼的には黒質・青斑核の色素脱失がみられ、 組織学的には、黒質や青斑、迷走神経背側核、視床下部、交感神経節などの神経細胞脱落が生じていて、 典型的には残存神経細胞やその突起の一部にLewy小体という特徴的な封入体が認められる。 リン酸化アルファ-シヌクレインの異常な蓄積が認められる。
脳内のドーパミン不足と相対的アセチルコリンの増加が原因と考えられている。が、そのドーパミン分泌量の低下及びアセチルコリン増加について、原因は解明に至っていない。このため、パーキンソン病は本態性パーキンソニズムとして、症状の原因が明らかでないパーキンソニズムに分類される。
尚、無動のため言動が鈍くなるため、一見して痴呆またはその他の精神疾患のようにみえることもあるが、実際に痴呆やうつ病を合併する疾患もあるため鑑別を要する。
[編集] 薬物療法
- ドーパミン前駆物質(L-Dopa)
- ドーパミン受容体作動薬
- ドーパミン放出薬(アマンタジン)
- MAO-B阻害薬(FP)
- 抗コリン剤
- ノルアドレナリン作動薬(ドロキシドパは日本で開発されたノルアドレナリンの非生理的前駆物質)
[編集] 歴史
1817年にイギリスのジェームズ・パーキンソンにより初めて報告された。
[編集] 社会的影響
[編集] パーキンソン病に罹患した著名人
- アドルフ・ヒトラー
- フランシスコ・フランコ
- アーサー・ケストラー
- 江戸川乱歩
- 三浦綾子
- 岡本太郎
- 鄧小平
- 山田風太郎
- キャサリン・ヘプバーン
- ペーター・ホーフマン
- ビリー・グラハム
- ヨハネ・パウロ2世
- モハメド・アリ
- マイケル・J・フォックス
- E・H・エリック
- 小森和子
- 石母田正
- 萱野茂
- モーリス・ホワイト
[編集] 日本
2006年1月1日現在、日本の特定疾患に指定されている。
[編集] 関連
- 神経学
- Parkinson's Disease : symptoms, diagnosis, biochemistry, causes, treatments, history, prevalence, organisations, toxic causes, genetic causes
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