アマンタジン
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アマンタジン(Amantadine)は示性式C10H15NH2、分子量151のアミン。別名1-アミノアダマンタン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-1-アミン 。アダマンタンにアミノ基がついた構造をしている。実際の製剤名は塩酸アマンタジン。CAS登録番号は768-94-5、塩酸塩のCAS登録番号は665-66-7。
黒質線条体からのドーパミン放出を促し、パーキンソン病の症状を改善する治療薬として用いられる。パーキンソン症候群の全てに効果があるわけではない。
またインフルエンザウィルスのM2蛋白を阻害し、ウイルスが脱殻することを抑制し、またウイルス粒子を構成することができなくなることによりA型インフルエンザ治療薬としても用いられる。なお、B型インフルエンザには効果がない。副作用は睡眠障害や幻覚などであるが、パーキンソン病治療薬としては副作用は少ないほうである。
米国では 2005/06年のインフルエンザシーズン当初にインフルエンザA/H3N2型において 92.3%の率で耐性をもつウィルスが検出され、 アメリカ疾病予防管理センターは抗インフルエンザ薬として使用しないよう緊急勧告を出した。 日本においては引き続き使用されているが、 結果として臨床においても 2003/04 シーズン、2004/05 シーズン、2005/06 シーズンを比較すると 有意に解熱時間、発熱時間が年々延長していることが明らかになっている。 (日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の調査)
本来インフルエンザ感染症の治療薬として開発されていたが、治験の最中にパーキンソン病が改善した患者がいたため、適応を拡大した。商品名として代表的なものは「シンメトレル」であるが、後発品も多数ある。