ノーチラス (原子力潜水艦)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
 |
|
| 艦歴 | |
|---|---|
| 発注: | 1951年8月2日 |
| 起工: | 1952年6月14日 |
| 進水: | 1954年1月21日 |
| 就役: | 1954年9月30日 |
| その後: | 博物館として海軍が保有 |
| 除籍: | 1980年3月3日 |
| 性能諸元 | |
| 排水量: | 基準排水量2,980トン, 満載排水量3,520トン, 540トン dead |
| 全長: | 97.5 m (320 ft) |
| 全幅: | 8.5 m (28 ft) |
| 喫水: | 7.9 m (26 ft) |
| 兵装: | 魚雷発射管6基 |
| 乗員: | 士官13名, 兵員92名 |
ノーチラス(USS Nautilus, SSN-571)は、アメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦。世界初の原子力潜水艦である。
ノーチラスの名は、アメリカ海軍艦艇としては6代目（en:USS Nautilusを参照）にあたる。
目次 |
[編集] 概要
「アメリカ原子力海軍の父」とも称されるハイマン・G・リッコーヴァー（en:Hyman G. Rickover）提督の強力な指導のもとに計画・建造された、世界最初の原子力潜水艦。潜水艦が、「潜航可能な船（submergible ship」ではなく、水中活動をこそ常態とする「真の潜水艦（submarine）」への進化を遂げた画期をなす艦として有名である。
艦型や構造は第二次世界大戦型の艦隊潜水艦のそれを踏襲しているが、司令塔は廃止され、指揮区画は発令所へ集中配置された。アルバコアの実験結果により、1軸推進の優位は既に実証されていたが、冗長性を確保するために2軸推進が採用された。酸素タンクと空気浄化装置は在来型潜水艦用のものが搭載されたが、酸素供給時間は在来型の10日間から30日間に増大した（後に、連続60日の潜航持続可能な原潜用空調システムに換装）。S2W型原子炉は連続全力発揮時間250時間が可能であり、これにより（艦型こそ旧来型であるものの）、1381浬の連続行動と燃料交換なしでの62562浬の航海が可能になった。
1954年12月30日、ノーチラスの原子炉は初めて臨界に達し、翌1955年1月3日に初めて全力運転を行う。同年1月17日11時、最初の航海でテムズ川を渡ったときに発した「本艦、原子力にて潜航中Underway on nuclear power」の信号は有名である。1958年8月3日、潜航状態で北極点を最初に通過することに成功した。
本艦の成功を踏まえて、米海軍は初の量産型原潜スケート級の建造に乗り出すが、現在まで続く流体力学的船殻と原子力との結合は、スキップジャック級の登場まで待たなければならない。
試験艦的性格が強かったために建造は1隻のみであったが、第2次大戦後の模索期にあった米潜水艦の技術的方向性に、その画期的成功を以って指針を与えた意義は大きい。1980年の退役後も、コネチカット州グロトンで記念艦として保存・公開されている。
[編集] 履歴
1952年6月14日、コネチカット州のエレクトリック・ボート造船所で建造が開始され、1954年1月21日にアイゼンハワー大統領の夫人を迎えて進水式が行われ、同年9月30日に就役。1955年1月17日には、史上初めての原子力を使っての運転に成功。1980年3月30日退役。以後、解体されることなく記念艦として公開展示されている。
[編集] 要目
- 計画番号：SCB64
- 種別：攻撃型原子力潜水艦
- 全長：98.7m
- 全幅：8.4m
- 喫水：6.6m
- 排水量（水上/水中）：3,533t/4,092t
- 予備浮力：15.8%
- 機関：原子力ギアード・タービン方式 —— WEC S2W型加圧水型原子炉×1基/蒸気タービン×2基/ディーゼル×4基/5翼スクリュー×2軸
- 出力：ディーゼル1680HP、原子力15000SHP
- 電池：ガピーI型×126個1群
- 速力（水上/水中）：22kt/23.3kt
- 乗員：105名（士官15名、先任兵曹12名、下士官兵80名）
- 安全潜入深度：213m（700ft）
- 兵装：533mm水圧式Mk50×6 —— 魚雷×22
- ソナー：SQS-4、BQR-4A
- 水中射撃指揮装置：Mk101
- レーダー：BPS-1、BPS-4（対空）
[編集] 関連事項
- 原子力
- 潜水艦
- 原子力潜水艦
- アルバコア (AGSS-569)
- シーウルフ (SSN-575)
- スケート級原子力潜水艦
- スキップジャック級原子力潜水艦
[編集] 外部リンク
すべて欧文サイト。
- US Navy Submarine Force Museum アメリカ海軍潜水艦隊博物館。ノーチラスを展示しており、艦内の一部も見学できる。
- SSN571.com ファンサイト。
- Nautilus Alumni Association ノーチラスの元乗員たちのサイト。
カテゴリ: アメリカの潜水艦 | 原子力潜水艦 | アメリカ国定歴史建造物
