トビ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トビ | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||
Milvus migrans | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Black Kite |
トビ(鳶:学名Milvus migrans)は、タカ目タカ科に属する鳥。関西ではとんびとも言う。
ほとんど羽ばたかずに尾羽で巧みに舵をとり、上昇気流に乗って上空へ舞い上がる様や、「ピーヒョロロロロ…」という鳴き声はよく知られており、日本ではもっとも身近な猛禽類である。
目次 |
[編集] 形態
タカ科の中では比較的大型であり、体長は60~65㎝ほどで、カラスより一回り大きい。翼開長は150~160㎝ほどになる。体色は褐色と白のまだら模様で、眼の周囲が黒褐色になっている。地上や樹上にいるときは尾羽の中央部がへこんでいるが、飛んでいるときは尾羽の先端が揃う。また、飛んでいる時は翼の先端近くに白い模様が見える。
[編集] 生態
主に上昇気流を利用して輪を描くように滑空し、羽ばたくことは少ない。視力が非常に優れていると言われ、上空を飛翔しながら餌を探し、餌を見つけるとその場所に急降下して捕らえる。
餌は郊外に生息する個体は主に動物の死骸やカエル、トカゲ、ヘビ、魚などの小動物を捕食する。 都市部では生ゴミなども食べ、公園などで弁当の中身をさらうこともある。
餌を確保しやすい場所や上昇気流の発生しやすい場所では多くの個体が飛ぶ姿が見られることがあるが、編隊飛行を行うことは少ない。ねぐらなどでは集団で群れを作って寝ることもある。
[編集] 分布
ユーラシア大陸からアフリカ大陸、オーストラリアにかけて広く分布しているが、寒冷地のものは冬には暖地に移動する。生息地は高山から都市部までほとんど場所を選ばず、漁港の周辺などは特に生息数が多い。
アフリカ大陸に生息するものは、ニシトビとして別種とする見解もある。
[編集] 亜種
- 日本に生息するトビは留鳥。
- ヨーロッパと中央アジアの亜種 (M. m. milvusおよびM. m. lineatus)は渡鳥で、冬季は南へ渡る。
- アフリカの亜種 (M. m. parasitus) とインドの亜種 (M. m. govinda, Pariah Kite)およびオーストラリアの亜種(M. m. affinis, Fork-tailed Kite)は留鳥。
[編集] Sibley分類体系での位置
[編集] Status
LOWER RISK - Least Concern(IUCN Red List)
[編集] 鳶に関する問題
トビは本来警戒心が強いので、人間には近寄らないことが多いのがトビの本来の生態である。しかし、古来「鳶に油揚げをさらわれる」のことわざがある通り、人間に慣れた場合、隙を狙って人間が手に持っている食べ物まで飛びかかって奪うことがあり、最近このような事例が増えて問題となっている。
特に神奈川県にある江ノ島では、トビの大群が見られ、弁当や肉まん、ハンバーガー等を狙われる事が多い。 また、鴨川でもトビが群生しており、子供がトビに菓子を盗られて怪我をするなど、被害が増えている。
一方、三重県尾鷲市では、トビの成鳥の餌付けに成功して、トビが毎日人の手から低空飛行で油揚げを受け取っている例があるが(2006年5月現在)、先述の通りトビは元来警戒心の強い鳥であり、以前に人に慣れていなかったトビの成鳥の人の手からの餌付けの例は珍しい。
[編集] 鳶に関係する語
- 鳶職
- 鳶口
- 鳶が鷹をうむ
- 鳶に油揚げをさらわれたよう
- 鳶色