ディスチャージヘッドランプ
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ディスチャージヘッドランプは従来の白熱電球(ハロゲンなど)に替って、キセノンランプなどの高圧放電灯を使った自動車の前照灯である。メーカーによってはHIDライト、キセノンヘッドランプなどと呼び方もさまざまである。初期はスポーツタイプ車や長距離輸送トラックの一部にしか用いられなかったが、近年では実用車にも広く普及して来ている。
従来の前照灯に比べて明るく低消費電力、かつ長寿命であり、夜間の視認性も大きく向上し、夜間走行時の安全性向上に大きな効果がある。色温度はメーカー純正のもので標準装備あるいはオプション装着であれば概ね4500K前後であるが、市販のバルブ(バーナーとも呼ぶ)では5000K、6000Kといった光色もある。また、ハロゲン標準装備の車種であっても後付け装着は可能であるが、取り付けに多少の加工が必要であったり、メーカー純正でないため保証もなく、光色によっては車検が通らない場合(6000Kを装着してるケースが多い)もあったりするので注意が必要である。
ディスチャージヘッドランプは光束が従来のハロゲンヘッドランプなどに比べて大きいので、乗車や積載の状態、道路状態などによっては対向車などの眩惑にもなりかねないので、光軸調節の機能が付いている事も多い。また、点灯時しばらくは色温度が高く暗いので、安定した光色や光束になるまで数秒から数十秒はかかる。また熱を伴う事が少ないので樹脂レンズの使用も容易であるが、積雪地ではそのために前照灯のレンズが着雪して照射が遮られるという問題もあるため、ハロゲンなどの従来型の白熱タイプを好まれる傾向も一部ある。また、ハイビームとロービームが別になっている4灯式では点灯が安定するまでに時間を要する点からハイビームはハロゲンなどの白熱電球で、ロービームのみに用いているのがほとんどであり、2灯式では電動あるいは機械的に可動する反射板でロービームとハイビームの配光を切り替えるようになっているのが一般的である。また、ハイビームもキセノンにしているのはバイキセノンヘッドライトと呼ぶ。