サル目
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サル目とは、一般的にサル(猿)と呼ばれる動物を含む分類項目。
サルは、日本では特に、日本固有種であるニホンザルを指すことが多い。
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サル目(さる-もく)は脊椎動物亜門 哺乳綱の1目。霊長目(れいちょうもく、霊長類)とも呼ばれる。キツネザル類、オナガザル類、類人猿、ヒトなどが属している。
なお、「サル」の漢字には、日本では専ら「猿」が当てられるが、本来の字義としては、「猿」は尾の長い種類(Monkey)を、「猴」は尾の短い種類(Ape)を、「猨」は手の長い種類のサル類をさす。
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[編集] 特徴
サル目は、哺乳類としては比較的基本的な体制を維持している。爪や歯などには大きな特殊化は起こっていない。その中で、サル類を特徴づけるのは、以下のような点である。
- 5本の指をもち、親指が他の4本と多少とも対向しているため、物をつかむことができる。
- 前肢と後肢の指の爪は、ヒトを含めた狭鼻下目のすべての種ではすべての指の爪が平爪である。原猿類と広鼻下目の一部では平爪のほかに鉤爪をそなえる種もある。
- 両目が顔の正面に位置しており、遠近感をとらえる能力に優れている。
これらの特徴は、樹上生活において、正確に枝から枝に飛び移るために不可欠な能力である。多くの樹上性のほ乳類では、かぎ爪を引っかけて木登りをするが、サル類の平爪はこれをあきらめ、代わりに指で捕まるか引っかかるかする方向を選んだものである。また、それが指先の器用さにもつながっている。
- 色覚を有し、緑色の葉の間から、さまざまな色をした果実などを見つけるのに有利になっている。
また、
- 頭部の前方に眼が並び、その面がやや平らになって顔面を形成する。往々にしてこの部分には毛がなく、皮膚が露出する。
- 大脳がよく発達する。
そして個体間で互いに表情や声で情報交換をするものが多い。
体重100g以下のコビトガラコ (Galago demidovii) から、100kgを超すゴリラまで、多様な種が属している。また、生活環境は樹上生活から地上生活まで幅広く、食性も昆虫食、果実食、草食など、多岐にわたる。ただし、全体としてみれば、樹上性のものが多い。地上性のものはそこから派生したと考えられる。
[編集] 分布
熱帯系の動物であり、ヒトをのぞけばその分布は熱帯域に集中する。東アジアには温帯域まで分布する種があり、ニホンザルは最も北に分布するサルとして有名である。ヨーロッパにはほとんど生息せず、ジブラルタル海峡ごしに種が生息するのみである。また、北アメリカにもいない。
[編集] 日本の霊長類研究
第二次世界大戦後、今西錦司らが幸島(こうじま)および高崎山で野生ニホンザル群の餌付けに成功して以来、日本の霊長類研究は飛躍的な発展を遂げた。今西らのニホンザルの文化的行動についての研究は世界中から注目され、その後の霊長類研究の方向性に重大な指針を与えた。
その後もニホンザルにとどまらず、伊谷純一郎など多くの日本人が、ゴリラ、チンパンジー、ボノボなどの類人猿をはじめ、東南アジアからインドにかけてのオナガザル、南米における新世界ザルなど、ほとんどすべてのサルを網羅したフィールドワークを行い、先導的な研究を続けている。
日本のサル学は生態学的研究だけでなく、社会学、生理学、遺伝学、形態学、運動学など多岐に渡り、主に京都大や大阪大において今日も活発な研究がなされている。
[編集] 分類
[編集] 曲鼻猿亜目(原猿亜目)Strepsirrhini
[編集] 直鼻猿亜目(真猿亜目)Haplorhini
- (ヒト科の分類については、最近多様な意見が提出され、研究者の間でも意見の一致を見ていない)
[編集] 人間との関わり
ヒトもサルの一種ではあるが、ここではそれ以外のサルと人との関係について述べる。
子(ね)から数えて猿は干支の9番目に数えられる。
ヨーロッパ近辺にはほとんどヒト以外のサルはいないので、伝承等に姿を見せることは少ないが、それ以外の世界では、さまざまな関わりを持つ。野生動物の中ではあまりにも人間に似ていることから、これを狩ったり喰ったりすることを食のタブーとする地域もある。しかし、食用になっている例もある。日本でも、第二次大戦後、サルの数が急に減少したのは、戦後の食糧難の時期に食用になったためと言われている。また、熊の胆嚢を熊の胆というように、サルの胆も薬用とされた。
また、知能が高いことから利口で勇敢な、あるいは狡猾なイメージが付随する。前者の例は孫悟空やハヌマーンが有名である。日本では、サルはヒトのまねをするものとの伝承がある。無闇に他人の真似をするのを猿真似と言う。
外見上は人間に似ているが知能の面では及ばないことから、「頭が悪い奴」という意味の蔑称として用いることがある。サル知恵といえば、中途半端に考え工夫をして愚かな失敗をすることをさす。
ペットとして飼育されることもあるが、たいていの場合、大人になると凶暴になり、一般的には飼育が困難である。しかも、知能が高いため、いたずらが巧妙を極め、逃げ出すこと、室内を破壊することが多いという。しかし、サルをペットとする歴史その物は古く、古代中国ではテナガザルを飼うのは王侯の楽しみであったと言う。史上最初の推理小説ともいわれる「モルグ街の殺人事件」の犯人はペットのオランウータンだった。目的を持って飼育する例は多く、東南アジアではココヤシの実を取ってこさせるためにブタオザルが飼育されるなどの例もある。日本では猿回しは伝統芸能である。チンパンジーの芸はサーカスなどで見られる。
日本の狂言にはサルの登場する作品がいくつかあり(靫猿など)、狂言師は子供のころにサル役でデビューする。サルはまた、酔拳や蛇拳などの象形拳や、形意拳の十二形拳にある、「猴拳(さるけん)」「猴形拳(こうけいけん)」のモデルにもなっている。
[編集] サルを主人公とした作品
古典作品
- 靫猿(狂言)
- 西遊記
- サルカニ合戦
- 猿の惑星
- キュリアス・ジョージ
OK?
[編集] サルをモチーフとしたキャラクター
- おさるのもんきち(サンリオ)
- コマーさる君
- モンチッチ
- モンちゃ(やんちゃるモンちゃ)
- バザールでござーる(日本電気)
- ピポザル(サルゲッチュ)
- モッチ(キャラメッセージ)
- キングコング(モチーフはゴリラ)
[編集] ポケモン
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク