コンサートマスター
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コンサートマスター(concertmaster)は、オーケストラの演奏をとりまとめる職をいい、一般には第1ヴァイオリン(ヴァイオリンの第1パート)のトップ(首席奏者)がこの職を担う。また、吹奏楽では、一般に第1クラリネットのトップであり、場合によって他のパートのトップがこの職を担う。女性奏者(女性名詞)の場合、コンサートミストレス(concertmistress)といい、日本においてはそれぞれ省略してコンマス、コンミスと呼ばれることも多い。なお日本を別にすれば「コンサートマスター concertmaster 」は一般にアメリカのオーケストラで多用される呼称であり、イギリスではLeader、ドイツ語圏ではKonzertmeister、フランスではchef d'attaque などと呼ばれる。
また、コンサートマスターを集めたクラブなどもあり、代表的なものとしてコンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパンなどがある。
目次 |
[編集] 役割
オーケストラなどの大きな演奏団体では、指揮者が置かれるが、実際の細かな音の出だしや切る位置、微妙なニュアンスは、指揮では示しきれないことも多い。演奏者はむしろ、楽器を演奏する(コンサートマスターのボウイング)のを見た方が、そういったことがわかりやすいことも多いのである。このような場合、演奏者は指揮を見るのと同時にコンサートマスターを見て演奏する。逆にコンサートマスターはそれに対して指示を出すのである。このため、コンマス・コンミスが何らかの理由で指揮者と対立したりすると、楽団としては非常に困った事になる。
練習に際しては、指揮者の指示を補ったり、指揮者の指示に従って演奏法を細かく指示したり、演奏者を代表して指揮者と協議したりする。
また、第1ヴァイオリンのトップであるから、ヴァイオリン・ソロの部分はコンサートマスターが担当することが一般的であり、オーケストラのなかで総じて目立つ存在となる。弦楽器団員でも楽団所有の楽器を弾かなければならないことで有名なウィーン・フィルでも、コンサートマスターのみ個人の楽器で演奏しており、ストラディヴァリウスなどの銘器を弾いている。 ヴァイオリンセクションだけではなくストリングスセクション全体のトッププレーヤーでもあることから,ストリングスセクションのボウイングを決めるという役目も担っている
演奏前のチューニング(音合わせ)では、オーボエがA(La)の音を出し、起立したコンサートマスターがその音を引き取って各奏者が合わせる。演奏の前後に指揮者が挨拶をするときには、一般にオーケストラは起立するが、起立、着席の合図はコンサートマスターが行う。
また、団体によっては演奏前の出場の時、最後に出場して他の楽員に迎えられる、というような儀礼を取るところもある。
[編集] 人選
通常、コンサートマスターの採用・契約は、ヴァイオリンの一般団員(トゥッティと呼ばれる)とは別採用、別契約で行われることが多い。上記のように演奏上その他で役割が大きいためである。また管弦楽曲においてもソロの目立つ曲は多いため、演奏技術も当然格段に優れている必要がある。コンサートマスターが何らかにより退団する場合、通常後任はトゥッティから選ぶことをせず、公募を行う。 団体によっては、コンサートマスターが複数置かれる場合や、演奏会や曲によっては、オーケストラに所属しない奏者がコンサートマスターを務める場合もある。
[編集] コンサートマスターの例
- アルノルト・ロゼー(グスタフ・マーラーの義弟)
- ヴォルフガング・シュナイダーハン
- ヴィリー・ボスコフスキー
- ワルター・バリリ
- ワルター・ヴェラー
- ゲルハルト・ヘッツェル
- ライナー・キュッヒル
- ウェルナー・ヒンク
- レオン・シュピーラー
- ジークフリート・ボリス
- ゲルハルト・タシュナー
- エーリッヒ・レーン
- ミシェル・シュヴァルベ
- トマス・ブランディス
- 安永徹
- グレン・ディクテロウ
[編集] 日本のオーケストラのコンサートマスターの例
- 梅沢和人
- 長原幸太
- 藤井允人
- 木野雅之
- 扇谷泰朋
- 豊嶋泰嗣
- 扇谷泰朋
- 松本善三
- 大関博明
- 大谷康子
- 阿部冨士雄
- 西田博
- 深山尚久
- 小森谷巧
- 藤原浜雄
- 太田雅音
- 崔文洙
- 西江辰郎
- 豊嶋泰嗣
- 川島秀夫
- 七澤清貴
- 戸澤哲夫
- 水野稔雄
- 北垣紀子
- 後藤龍伸
- 石田泰尚
[編集] ヴァイオリンソロの活躍する管弦楽曲
ヴァイオリンソロの活躍する管弦楽曲の例を挙げる。これらの曲では録音においては著名ヴァイオリニストがソロを演奏する場合もあるが、実演においてはまず団のコンサートマスターが演奏する。なお19世紀においてあるオーケストラではコンサートマスターがソロを弾く際、起立する慣わしがあったという。
- リムスキー=コルサコフ - 交響組曲「シェヘラザード」
- 部分的にはヴァイオリン協奏曲と言ってもいいほどヴァイオリンソロが活躍する。
- リヒャルト・シュトラウス - 交響曲「ドン・キホーテ」「英雄の生涯」など
- リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲はどれもヴァイオリンソロが活躍する場面が多く、技術的難易度も高い。
- マーラー - 交響曲第4番
- 第2楽章では変則調弦(スコルダトゥーラ)によるヴァイオリンをソロ用に別に用意し演奏する。
- モーツァルト - セレナード第7番 ニ長調 K.250「ハフナー」
- 第4楽章「ロンド」は、クライスラー編曲により、リサイタルのアンコールピースともなっている。
- サン=サーンス - 交響詩「死の舞踏」
- チャイコフスキー - バレエ音楽「白鳥の湖」