キリスト教綱要
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キリスト教綱要(ラ:Christianae Religionis Institutio)はジャン・カルヴァンの主著。
プロテスタント神学の最初の組織神学書である。1536年3月にバーゼルにおいてラテン語で執筆された。その後5度に渡って改訂増補され、1559年に出版された第5版が最終版となった。後世、この版をもって各国語に翻訳されてきたため決定版と呼ばれることもある。なお、初版本を除き、カルヴァンは『綱要』ラテン語版を出版すると必ずその後フランス語版を出版した。最終版のフランス語版は1560年に出版されている。
『綱要』初版の序文にはプロテスタントを迫害したフランソワ1世への献呈の辞が長文で現されている。初版本では、最初はロマ書講解の形をとっていたが、やがて、十戒、使徒信条、主の祈り、礼典、教会規定などの解説がつけられて、使徒信条の項目、神、キリスト、聖霊、教会などの主題にまとめられた。なおこの変化は、ルターの「小教理問答」の枠組みを借りて書き上げられた初版本が、その後カルヴァン独自の神学の形成に伴って次第に変化していったもので、譬えて言えば、ルター主義的な「律法から福音へ」が「福音から律法へ」と変化したことを示しているとされる。
カルヴァンが『綱要』を執筆した目的は聖書に対する神学的な手引きであり、特に、改革長老教会の神学的基礎を記している。その中心的な思想は、「神の権威と聖書における唯一の啓示」の主張(一般に「神中心主義」としてまとめられる)である。日本では1934年に中山昌樹が翻訳し、その後1962年に渡辺信夫による邦訳(新教出版社)が出版された。なお、初版本(1536年版)も教文館より刊行されている。