キュウリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キュウリ | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類 | ||||||||||||||
|
||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||
Cucumis sativus | ||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||
キュウリ | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
Cucumber |
キュウリ(胡瓜、Cucumis sativus L.)はウリ科キュウリ属のつる性一年草。およびその果実のこと。未熟な実を食用とする。インド北部、ヒマラヤ山麓原産。日本では平安時代から栽培される。 「キュウリ」の名は、元々「木瓜」または「黄瓜」(きうり)と書いたことによる。現代の中国語では「黄瓜 ホワングワ huángguā」、「青瓜 チングワ qīngguā」などと呼ぶ。
目次 |
[編集] 生態
温暖な気候を好むつる性植物。種子は暗発芽種子である。雌雄異花ではあるが、単為結果を行うため雄花が咲かなくとも結実する。生育ステージや品種、温度条件により雄花と雌花の比率が異なる。主に黄色い色の花を咲かせ、果実の生長は非常に早く日本では、収穫作業が一日に2~3回行われる(これには、日本市場のキュウリの規格が小果であることも一因である)。夏は路地栽培、秋から初春にかけては、ハウスでの栽培がメインとなり、気温によっては暖房を入れて栽培することもある。しかし、近年の石油の価格高騰により、暖房をかけてまでの栽培を見送る農家も少なくない。果実色は濃緑が一般的だが、淡緑のものもある。根の酸素要求量が大きく、過湿により土壌の気相が小さい等、悪条件下では根が土壌上部に集中する。
[編集] 品種
- 馬込半白胡瓜(まごめはんしろきゅうり)
- 東京都大田区の伝統野菜。明治時代に節成胡瓜を改良した品種で、実の長さは10cm強と小さく、色は大部分が白っぽく、元の一部のみが緑色である。小さい上に傷みやすく、流通に向かないため、現在はほとんど栽培されていない。
- 高井戸節成胡瓜(たかいどふしなりきゅうり)
- 東京都杉並区の伝統野菜。馬込半白胡瓜と練馬の枝成胡瓜の交配種。現在はほとんど栽培されていない。
- 加賀太胡瓜(かがふときゅうり)
- 聖護院胡瓜(しょうごいんきゅうり)
- 毛馬胡瓜(けまきゅうり)
- 大阪府の特産種で、30cm以上の長い実ができる。元は緑で先は白のグラデーションとなり、歯ごたえがよいのが特徴。江戸時代の摂津国毛馬村(現大阪市都島区毛馬町)が発祥の地とされ、「浪華漬」と呼ばれる粕漬けの原料として周辺地域でも栽培されるようになったが、収率が悪いため廃れ、現在は、南河内郡河南町を中心に伝統野菜として栽培されているにとどまる。
- 大和三尺(やまとさんじゃく)
[編集] 食材
生でサラダ、寿司(かっぱ巻き)、酢の物、和え物などで供されるほか、ピクルス、オイキムチ、奈良漬け、醤油漬けなどの漬物の材料として使われる。加熱調理されることは少ないが、煮物や炒め物としても利用される。
最近では、キュウリの表面に出るブルームが、農薬とまぎらわしいという理由で嫌がられ、ブルームレスキュウリが多く作られている。ブルームのないブルームレスキュウリは通常のキュウリと比べ皮が固い。ブルームとは白い粉状のもので、採れたばかりのキュウリのブルームはまるで薔薇のとげのように硬く、素手で触ると痛い。また、このブルームは鮮度が失われるにつれて硬さを失っていくため、このことからキュウリの鮮度を見分けるための目安にもなる。
そもそもこのブルームはキュウリの水分が蒸発するのを防ぐ働きをしている物質であるのだが、ブルームレスキュウリは通常のキュウリより味が落ちると考える人も多い。ブルームレスキュウリはカボチャを台木として、接ぎ木することによって作成できる。
また、まだ実が小さいうちに収穫したものを「もろきゅうり」といい、これは主に生で食べる。
[編集] 民俗
家紋の「木瓜」は、胡瓜の切り口を図案化したものとの説もある。
祇園信仰において、スサノオ(牛頭天王)を祭神をする八坂神社の神紋が木瓜であり、キュウリの切り口と似ていることから、祭礼の期間はキュウリを食べないという地方(博多の博多祇園山笠など)もある。
また、江戸時代は、輪切りにすると徳川家の家紋である葵の御紋に似ているところから、それを食べるのは不敬であるとして、キュウリを輪切りにされることは慎まれていた。
[編集] 内部リンク
- 南極1号(胡瓜の一種)
- 南極2号(胡瓜の一種)