カートレイン
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カートレイン(Car Train)とは、自動車とそれを運転・乗車していた旅客を共に1本の列車で運送するものである。
運転実績があるものは以下の通りである。
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[編集] 国鉄・JRが運行したカートレイン
1985年7月に日本国有鉄道が乗用自動車を有蓋貨車に運搬する形で汐留駅~東小倉駅間を運行した「カートレイン」が日本における緒である。1990年代に主に東京・名古屋~広島・九州間、東京~北海道間、北海道相互で運行されたが、2005年では共に運行が終了している。なお、これらは4輪の自動車を輸送したが、オートバイとその運転手を対象とした「モトとレール」・「MOTOトレイン」が運行された。下記を参照のこと。
形態としては、自動車・オートバイを手荷物扱いとして運行されたが、自動車の燃料であるガソリンが危険物であることから運行に際して機関車+客車+(自動車を積んだ)貨車という編成とすることとなり、上り・下りで編成替えを行った。また、オートバイの場合、燃料を抜いて乗車させるという方法を採った。
しかし、搭載できる自動車は長さ4600mm、幅1600mm、高さ1900mmまでという制約があり、5ナンバーでも幅や長さがこれを超えるため搭載できないものが少なくなかったため、利用は伸び悩んだ。
- カートレイン九州
- 1985年から汐留貨物駅(後に浜松町駅・恵比寿駅)~東小倉駅間で運行開始。後に、広島駅に停車し東京~広島駅間での乗降を認めたが、基本的には東京~東小倉駅間の設定であった。20系客車とワキ10000形が使用された。運行当時は余剰となったA寝台車両を用いた。
- カートレインユーロ名古屋
- 熱田駅~東小倉駅間に運行された。他のカートレインは特急列車扱いであったが、急行列車の扱いで運行された。編成は電源車として12系客車1両・ジョイフルトレイン「ユーロライナー」2両・マニ44形4両で運行された。
- カートレイン北海道
- カートレイン釧路
- 1997年~1999年に白石駅~新富士駅 (北海道)間に運行された。形態はカートレイン北海道と同様24系客車とワキ10000形車両を用いた。
- カートレインさっぽろ
[編集] モトとレール・MOTOトレイン
変わり種として北海道のオートバイによるツーリング客の輸送を行う列車として大阪駅~函館駅間及び上野駅~函館駅間にオートバイのみを運送する列車も運行され、前者は「モトとレール」後者は「MOTOトレイン」と称された。但し、これらは純粋な臨時列車ではなく、定期列車に専用車両を連結する方式を採用。安全確保のため乗車前に、オートバイのガソリンを抜かなければならない(大阪・上野・函館の各駅最寄りのガソリンスタンドにて抜き取るよう指示されていた)不便さはあったが、人気を博した。1986年~1998年の13年間夏季のみ運行された。なお、オートバイの積み込みを行う関係で、途中駅での乗降は一切不可であった。
- モトとレール
- 1986年に運行開始。マニ50形荷物車にオートバイを搬入する形で大阪駅~青森駅間を運行していた寝台特急「日本海1・4号」に連結。同列車に専用寝台車を増結しそれを利用客に充てた。運行当初こそ青森駅~函館駅間は青函連絡船による輸送であったため、乗客は船への移動を余儀なくされたが、青函トンネルが開通し津軽海峡線を経由して直接函館駅へ乗り入れた1988年以降青森駅での乗り換えは解消された。
列車名は当初「日本海モトトレイン」であったが、関西弁のニュアンスだと「元取れへん」、つまり「元が取れない」とも聞こえるため忌み嫌ったJR西日本は、元取れると聞こえる「モトとレール」に変更した。なお列車名は年度によって「日本海モトとレール」など小さな違いはあった。
- MOTOトレイン
- 1986年、マニ50形荷物車にオートバイを搬入し、上野駅~青森駅間を運行していた夜行急行列車「八甲田」に連結する形で運行開始。但し、利用客は寝台車(B寝台)が充当され、定期列車利用客と分離した形で運行した。当初は青函連絡船に乗り換える形であったが、青函トンネル開業後は急行「八甲田」の車両をそのまま用い、青森~函館間を臨時快速列車「海峡」として青函トンネルを通る形を採った。
1994年以降「八甲田」が臨時列車化されるが運行形態は維持されたが、臨時列車運行廃止に伴い運行を終了した。
[編集] 模型製品化
なお、カートレインの場合、かつては貨客同時に輸送する混合列車があったものの貨車+客車という組み合わせであっても専用色を使用していることなど特色があったことから、プラレールなどでも製品化されている。また、MOTOトレインもトミックスからNゲージ模型製品化されている。
[編集] ヨーロッパにおけるカートレイン
ヨーロッパでは、アルプス越えなど道路の長大トンネルを掘るのが困難な区間において、貨車で自動車を運送するものを指す。ユーロトンネルでも導入された。
日本では、青函トンネルの開通前に設置された利用方法をめぐる審議会において、1985年にカートレインの導入を求める答申が出ているが、開通から15年以上が経過した今日に至っても具体化する目処は全く立っていない。
この原因としては、以下の要因があげられる。
- トンネル開口部付近に予定される積み下ろし基地までの道路整備にかかる財源問題
- 導入後のフェリーに対する補償問題
- 導入した場合の鉄道輸送のシェア低下・利用区間の短縮に伴う減収(特に貨物)の懸念
- 北海道新幹線乗り入れ後のダイヤ編成の複雑化
- など
[編集] 関連項目
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