オングストローム
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オングストローム(ångström) | |
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記号 | Å, ÅE |
系 | SI暫定単位 |
量 | 長さ |
定義 | 10-10メートル |
オングストローム(ångström, 記号:Å)は長さの単位である。原子や分子、可視光の波長など、非常に小さな長さを表すのに用いられる。その名前は、分光法の先駆者であるスウェーデンの物理学者アンデルス・オングストロームの名前からつけられた。
1Åは10-10m = 0.1ナノメートル(nm) = 100ピコメートル(pm) と定義されている。原子や分子の大きさ、また可視光の波長は数オングストロームから数十オングストロームの大きさに入ることから、分光学などにおいて数値的に都合がよく、広く使われていた。10-10という中途半端な(羃指数が3の倍数でない)数値が含まれているために国際単位系(SI)の正式な単位とはされていないが、広く使われていることからSIでは暫定的に併用することを認めている。ただし、あくまでも暫定的なものであり、SIの正式な単位であるナノメートルやピコメートルを使用することを推奨している。日本の計量法では、電磁波の波長、膜の厚さ、表面の粗さ、結晶格子にかかわる長さの計量にのみオングストロームを使用することを認めている。SIではないため、理化学分野、工業分野、教育分野で積極的に使われることはないが、その利便さから今日でもオングストロームの表記をすることが多々ある。
アンデルス・オングストロームによる元々の定義は「カドミウムの赤線の指定条件下における波長の1/6438.4696」というものであったが、後に上述のメートルに基づく定義に変更された。
記号はごくまれに"A"と書かれることがあるが、これはアンペアと同じであり、混乱を招く虞が大きい。