エレクトリック・ライト・オーケストラ
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エレクトリック・ライト・オーケストラ (Electric Light Orchestra) は、イギリスのバーミンガム出身のロックバンド。ザ・ムーブからの発展という形で1971年にデビューした。リーダーであるジェフ・リンが紡ぎ出すポップで端麗な名曲群で、1970年代から1980年代にかけて世界的な人気を博した。略称ELO(イー・エル・オー)。1960年代以降の、ロックとクラシックの融合という意味では、最も成功したロックバンドであり、「世界、最小で最高のオーケストラ」と言われる。また、「最もトップ40ヒットが多いアーティスト」としてギネスブックに載った程である。特に、バイオリンを効果的に利用しているロック・バンドという点では、カンサスと双璧をなすバンドであるといえ、クラシカルかつポップという点では初期のクイーンに通じるものがある。その後も、ボストンやTOTOなどにも多大な影響を与えた。
1970年代においては、アメリカで最も多くの(ビルボード40位以内の)ヒット曲を持つバンドであり、「ビートルズよりもビートルズらしい曲を持ったバンド」とも言われた。リーダーのジェフ・リンは、ビートルズのコアなファンであり、ジェフ・リンの自宅のレコード棚にはビートルズの楽曲しかないとの噂があるほどであり、特に『ディスカバリー』(1979年)までの楽曲は、中期のビートルズを連想させる楽曲である。
ELO、ジェフ・リンの熱烈な支持者としては、奥田民生が有名である。ユニコーンやパフィーの楽曲に、その影響を強く感じることができる。
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[編集] バンドの概要
通常のロックバンドとは異なり、ストリングスがバンド内に在籍するという編成で、クラシカルなサウンドが特徴だった。しかし、『アウト・オブ・ザ・ブルー』あたりから、ストリングスはバンドのなかでも目立たなくなり、代わりに本物のオーケストラを中心に構成するようになる。さらに、『ディスカバリー』を機にキーボードやシンセサイザーを導入、『タイム』以降はそれらを中心とした主体のポップな音楽へと変貌した。
デビュー当初は、ロイ・ウッド(元ザ・ムーブ)とジェフ・リンの二人が中心であったが、ファースト・アルバム発表後にロイが脱退。その後しばらくはポップでありながらもプログレッシブ・ロックに通じる音楽性であったが、70年代中盤からはビートルズ・ライクなポップスの要素が強くなっていく。その当時の作品である『アウト・オブ・ザ・ブルー』(1977年)や『ディスカバリー』(1979年)は大ヒットを記録した。中心メンバーであるジェフ・リンがほとんど全曲を一人で書いており、80年代以降は彼のソロ・プロジェクトのような形になっていった。
とはいえ、そのポップサウンドを疑問視するメンバーもいなかったわけではなく、ベヴ・ベヴァンを中心としてElectric Light Orchestra Part.2が結成され、ストリングスメンバーを再加入させた上で、本物のオーケストラもところどころに取り入れながらもかつてのように偏らないように効果的に使い、より完成されたサウンドを展開し、古参のファンを喜ばせた。しかし、ジェフ側のファンにとってみればこれはもはや「古臭い」ととられることも。
また、ジェフは80年代からプロデューサーとしても活躍しており、デイヴ・エドモンズ、ジョージ・ハリスン(元ビートルズ)、トム・ペティなどのプロデュースを手掛けている。1995年から96年にかけて発売されたビートルズのアンソロジー・プロジェクトでも、プロデュースを担当し話題となった。
現在では、ファンは大半はジェフのポップの才能を認め、ELOらしいポップサウンドを求めるものと、Part.2のような完璧なストリングスサウンドを求めるものに二分できる。
[編集] 代表曲
- ロール・オーヴァ・ベートーヴェン(Roll Over Beethoven)
- ザナドゥ(Xanadu)
- オリビア・ニュートン=ジョンとのコラボレーション。同名映画の主題歌で全米チャート1位獲得。
- トワイライト(Twilight)
- CX系ドラマ『電車男』オープニングテーマ、DAICON4オープニングアニメ、トヨタ「セリカ・ダブルエックス」CF曲、Lばんスーパーニュース初代オープニングテーマの原曲。1981年のアルバム『タイム』に収録されている。
[編集] アルバム・ディスコグラフィー
[編集] オリジナル・アルバム
- 1971 ノー・アンサー - Electric Light Orchestra (全英32位・全米196位)
- 1973 ELO2 - Electric Light Orchestra II (全英35位・全米62位)
- 1973 第三世界の曙 - On The Third Day (全英46・全米52位)
- 1974 エルドラド - Eldorado (全英40・全米16位)
- 1975 フェイス・ザ・ミュージック - Face the Music (全英30・全米8位)
- 1976 オーロラの救世主 - A New World Record (全英6位・全米5位)
- 1977 アウト・オブ・ザ・ブルー - Out of the Blue (全英・全米4位)
- 1979 ディスカバリー - Discovery (全英1位・全米5位)
- 1980 ザナドゥ - Xanadu (全英2位・全米4位)
- オリビア・ニュートン=ジョン主演の同名映画のサントラ盤。片面がELOサイドで片面がオリビアサイド(A面・B面の設定は国により異なる)。ちなみにアルバム・映画と同名の曲はELOサイドに収録。
- 1981 タイム - Time (全英1位・全米16位)
- 1983 シークレット・メッセージ - Secret Messages (全英4位・全米36位)
- 1986 バランス・オブ・パワー - Balance of Power (全英9位・全米49位)
- 2001 ズーム - Zoom (全英34位・全米94位)
[編集] ライヴ・アルバム
- 1974 The Night The Light Went On (In Long Beach)
[編集] ベスト・アルバム
- 1976 Olé ELO (全米32位)
- 1979 グレイテスト・ヒッツ - ELO's Greatest Hits (全英7位・全米30位)
- 1990 アフターグロウ - Afterglow
- 1995 ベスト・オブ・ELO - Strange Magic:The Best of
- 2000 フラッシュバック - Flashback (Electric Light Orchestra box set)
- 2003 エッセンシャル・ELO - The Essential Electric Light Orchestra
- 2005 オール・オーヴァー・ザ・ワールド - All Over The World:The Very Best Of (全英6位)