アサージ・ヴェントレス
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アサージ・ヴェントレス (Asajj Ventress) は、SFシリーズ『スター・ウォーズ』のアニメ作品『クローン大戦』及びスピンオフ作品に登場する架空の人物。禿頭の女性。画像
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
銀河共和国辺境の惑星ラタータック出身。戦乱の絶えないラタータックでの生活は悲惨で、その上ごく幼い頃に両親を殺害されて天涯孤独の身となった。生きるためになりふり構わず死にもの狂いの毎日を送っていたが、ラタータックを訪れた元ジェダイ騎士、カイ・ナレックとの出会いが彼女の運命を変えた。フォースの片鱗を見せていた彼女に、ナレックはジェダイの技を伝授した。不毛の惑星で生きる不幸な彼女に生きる術を与えるがための修行であったが、肝心のジェダイの精神を授ける前にナレックは他界。ラタータックの情勢を省みない共和国や師匠を追放したジェダイ評議会を恨みつつ、アサージはその歪んだ憎悪を持ったままジェダイの能力を身に着けた、最強の野獣となってしまった。
この時点で彼女はいわゆる「ダーク・ジェダイ」(ダークサイドに堕ちたジェダイ騎士)となったのだが、かつてジェダイを凌駕する力を誇り銀河に君臨した「シス」の存在を知った彼女は、自らがシスの精神を継ぐ者と意識し、シスらしい黒衣に身を包みシス卿を名乗ってラタータックでその頭角を現していった。
クローン戦争において有能な戦士を銀河中からスカウトしていた分離主義勢力のリーダー、ドゥークー伯爵はラタータックの闘技場を訪れた。自分を売り込む絶好の機会だと考えたアサージはこの闘技大会に参加。圧倒的なフォースの力とライトセーバーの腕を披露し、ドゥークー伯爵の知見を得た。しかし自分が「シス」と名乗って誇っていた力は本当のシス卿であるドゥークー伯爵に対して全く歯が立たないことを知り、ドゥークーとその師匠であるダース・シディアスに忠誠を誓い、シスの戦士として戦いに身を投じる決意を固めた。
やがてアサージは分離主義勢力軍の司令官に抜擢され、銀河各地の戦闘を指揮した。特にオビ=ワン・ケノービ将軍が指揮する共和国クローン軍との戦闘に多く参戦し、一時はオビ=ワンを捕虜として捕らえることにも成功した(その後脱走されている)。戦いを有利にするため共和国軍を指揮するジェダイ騎士団から切り崩す戦略を進め、オビ=ワンを味方に引き入れようと誘惑したほか、多くのジェダイ騎士の首に賞金を掛けて、ダージを始めとする共和国中の賞金稼ぎ達の力を利用した。
惑星ヤヴィンの衛星「ヤヴィン4」でジェダイ騎士アナキン・スカイウォーカーと対決したが敗北し、瀕死のところをドゥークー伯爵に助け出された。ドゥークー伯爵に捕らえられていたオビ=ワンとアナキンに船内で再びまみえたアサージは、その憎悪の限りをぶつけて決闘に臨んだが、既にドゥークーは彼女を見限っていた。ジェダイ屈指の二人の戦士を牽制するだけの力しかなく、逃走するドゥークー伯爵とグリーヴァス将軍の盾にされて結局は味方に銃撃された。そして、アサージの過去を知り、自分を助けようとしているオビ=ワンを前にしてジェダイに対する長年の恨みも消え「コルサントを守りなさい」と言い残し息を引き取った。オビ=ワンは彼女をコルサントでジェダイの作法に則り火葬するよう申し出たが、彼女の遺体を載せた宇宙船は行方不明となった。後の調査でアサージは死なずに仮死状態に陥っただけで、復活したアサージは宇宙船を奪い何処かへ消えた事が分かった。
ドゥークーはアサージの忠誠に対する証として二本のシス・ライトセーバーを授けた。この二本のライトセーバーはダース・モールが所持していた物と同じく、柄の尾部を接合させることにより両刃のライトセーバーとなる。これは扱いが非常に難しく、ドゥークーがアサージの実力を高く評価していたことを示している。しかしシスは一度に「師匠=弟子」の二人しか存在してはならない掟のため、彼女が本当のシスの修行を受けシス卿と認められることは無かった。
『エピソード3/シスの復讐』におけるアナキンの顔の傷は、アサージが最後の戦いで付けたものである。手強い彼女を倒すために憎悪の力の助けを借りたアナキンは、急速にシスの暗黒面に堕ちていくことになる。