TK RAVE FACTORY ~THIS IS THE TRUTH~
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TK RAVE FACTORY ~THIS IS THE TRUTH~ | ||
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trf の アルバム | ||
リリース | 1993年2月25日 | |
ジャンル | J-POP | |
レーベル | avex trax | |
プロデュース | 小室哲哉 | |
trf 年表 | ||
TK RAVE FACTORY ~THIS IS THE TRUTH~ (1993年) |
HYPER TECHNO MIX (1993年) |
TK RAVE FACTORY ~THIS IS THE TRUTH~(ティーケー・レイヴ・ファクトリー ディス・イズ・トゥルース)は、trf(現TRF)のデビューアルバムであり、小室哲哉がはじめて総合プロデュースした第1弾アルバムである。
[編集] 解説
この作品を結論から言えば、テクノアルバムというよりも、テクノの要素を取り入れた実験的要素が濃い、良質なディスコアルバムと言えるだろう。ただ、実験的要素があるといっても、ハードコアなアルバムではないし、一丸にこの曲はディスコで、この曲はテクノだと、カテゴライズできないのも事実である。なぜならば、7曲目の「DO WHAT YOU WANT」で見られる、ピアノの音が心地よく耳に響いてくるしっとりしたリズムの曲や、逆に激しいビートの上に、RAPだけで展開する2曲目の「IMPRESSION OF TRF」もあれば、アルバム1曲目の「THIS IS THE JOY」のようなダンスチューンもある。さらに、POPなイントロで思わず体を動かしたくなるような4曲目の「LET'S GO DANCE」や、5曲目の「TIME AFTER TIME」は、小室哲哉の色がイントロやサビのリフから見えてくる。さらに、ヒットシングル「EZ DO DANCE」のプロトタイプともいえる6曲目の「OPEN YOUR MIND」は、テクノティストのイントロとPOPなサビで展開し、様々なサンプリングボイスや、DJがプレイするスクラッチが曲中に登場する。この「OPEN YOUR MIND」は、テクノの激しいビートと、サビで見られるPOPなメロディが波のような速さで展開する楽曲で、ハ-ドな部分とポップな部分が潰しあってはいるが、次回作「EZ DO DANCE」に繋がる芽が出ていたことも確かである。しかしながら、小室哲哉は、この作品で初めてテクノとPOPSの融合を試みているが、本作11曲中、7曲が英語詞であるという面もあり、まだこの作品では洋楽の色が強く、テクノというジャンルとPOPSをどう上手く融合させて、なおかつ小室哲哉の色を出していくということに苦難していた事が伺える作品でもある。小室哲哉自身、1996年に発売されたエイベックストラックスの公式ガイドブック「all about avex」のインタビュー内で、「最初、テクノというジャンルをどう扱っていいか分からなかった」と発言しており、曲作りの面で相当な試行模索をしていたことが伺える。その事がもっともよく分かるのが、今作の3曲目に収録されており、アルバムと同時発売されたシングル曲の「GOING 2 DANCE」だろう。この曲は、テクノの面とPOPな面はあるのだが、どこか地味で中途半端な印象なのである。また、この曲は小室哲哉自身のユニットTMNETWORKが、1985年に発表したシングル「アクシデント」と共通している所があり、各フレーズやアレンジでいい所や新しい芽もあるが、曲全体で見ると、何をやりたくてどこに行きたいのかが、よく分からないという迷いがこの曲から出ており、小室哲哉の苦悩がよく現れている。ただし、「GOING 2 DANCE」のメロディーは、後に大ヒットした名曲「BOY MEETS GIRL」や「survival dAnce」を髣髴させるような光りは出ている。つまり、この曲を含めて今作は、次回作のアルバム「EZ DO DANCE」や、ブレイクのきっかけとなった翌年のアルバム「WORLD GROOVE」のベーシックな部分を見せているともいえよう。また、ベーシックという面で見れば、8曲目の「OUT THERE」は、小室哲哉が曲を作るときの初期段階がよく現れており、この曲のリフでいくつの曲を作ったのかも興味深い所である。10曲目の副題にも使われているミディアムバラード曲の「TRUTH」は、このアルバムの中で一番POPな作品であり、プロデューサーの小室哲哉自らがバックボーカルで歌っているのも見逃せない。この曲は、オーソドックスな形でありながらも、小室哲哉の個性が出ている良質のメロディーであり、この「TRUTH」が、後のtrfのアルバム曲に収録されているミディアム曲のベーシックになっているとも考えられる。また、この曲は後に「TRUTH'94」という題名で、1994年に発売されたアルバム「BILLIONAIRE」内で、オリジナルよりもテンポを落としたピアノバラードとなって生まれ変わっている。なお、今作の最後に収録されている、1曲目の「THIS IS THE JOY」が、EXTENDED VERSIONで収録されている。この曲の中で「フッ!」と息を吹くような男性のサンプリングボイスが何度か出てくるのだが、これは、セカンドシングル「EZ DO DANCE」のイントロや曲中で使われているボイスと同じである。アルバムの最後で次回作の1曲目を予言しているような所が興味深い。また、次回作のアルバム「EZ DO DANCE」を完成品と見れば、本作「TK RAVE FACTORY」は、模索をした試作品と言えるだろう。そして次回作「EZ DO DANCE」では、今作では見えなかった、テクノとPOPSの融合が早くも具現化していくのである。
[編集] 収録曲
- THIS IS THE JOY
- IMPRESSION OF TRF
- GOING 2 DANCE
- LET'S 5 DANCE
- TIME AFTER TIME
- OPEN YOUR MIND
- DO WHAT YOU WANT
- OUT THERE
- RIGHT HERE! RIGHT NOW!
- TRUTH
- THIS IS THE JOY [EXTENDED VERSION]