Rio (オーディオ)
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Rio(りお)とは、北米・ヨーロッパ・アジア地域を中心とした携帯オーディオ市場で約7年間販売(1998-2005)されていたデジタルオーディオMP3プレーヤーブランドの名称である。
[編集] 概要
1998年、アメリカのダイアモンド・マルチメディア・システムズ社(後に2000年・ソニックブルーに社名変更)が発売した「PMP300」が初代MP3プレーヤーRioブランドで登場、発売目前にアメリカレコード産業協会(RIAA)から販売差し止めの提訴を受けたが、無罪を勝ち取り紆余曲折を経て発売となった。手軽に曲の選曲・頭出し機能などの操作性の充実、MP3規格の普及と共に従来の携帯プレーヤーの市場に食い込む人気・シェアを取っていった。2003年3月にアメリカのソニックブルー社が倒産、その後日本の株式会社ディーアンドエムホールディングスが、MP3プレーヤーRioブランド事業・HDDレコーダー事業を4,000万ドルで買収し、販売を継承していたが、アップルコンピューター社製造・販売のIPod旋風がMP3プレーヤー市場でのRioのシェアを急激に低下させ、経営が悪化し2005年8月にMP3プレーヤー事業からの撤退を株式会社ディーアンドエムホールディングスが発表、Rioのブランド権の継承引き受け先のないまま9月末までに販売活動を終了・MP3プレーヤー事業の先駆者的ブランド「Rio」は携帯オーディオ市場から撤退となった。
[編集] 主なRio製品一覧
本文中の 「Rio」 の価格表記は特記事項のない限り、販売当時のメーカー希望価格での表記。
[編集] PMP300
第一世代 (MP3専用プレーヤー)
1998年12月12日 ‐ 日本国内市場に27,800円(税別)で発売開始。(単3乾電池1本で、12時間以上の連続再生可)
- スペック ‐ 本体内部メモリー32MBのフラッシュメモリを内蔵、増設メモリーはスマートメディア、エフェクト、イントロ再生、全曲/1曲/A-Bリピート、ランダム再生が可能。パソコン接続にはパラレルケーブルを使用したシステムを採用。Windows規格に対応。
携帯デジタルMP3プレーヤーとして日本市場に登場した、記念すべきRio初代機。自宅のパソコンでMP3再生が主流の1998年当時、MP3規格の携帯プレーヤーを開発しMP3の音楽を「持ち歩く」コンセプトの商品を製品化したエポックメイキング的な商品となった。当時、韓国SAEHAN社から発売された「MPMan」(32MBタイプが39,800円)が業界初携帯MP3プレーヤーとして発売されていたが、MPManより1万円近く安価な普及価格を付けて市場に投入されたPMP300も当時の消費者に支持され、デザイン性・機能性の先進性は、後に続く携帯MP3プレーヤー開発メーカーに大きな影響を与えた。
著作権問題
1998年10月9日、アメリカレコード産業協会(以後RIAA)から、劣化せずデジタル録音が可能なMP3規格フォーマット自体が、二次録音を防止する仕組みを持っていない録音機器(PMP300)と問題視され、販売差止命令を求める訴えをアメリカ・ロサンゼルスの連邦地方裁判所に提訴されたが、RIAAが問題視した「デジタル録音機器にはあたらない、プレーヤーとしての機能・モデルである」との評決が出てRIAA敗訴が決まり、双方が提訴取り下げに合意後、PMP300は発売された。1999年にSDMI準拠・規格が整備されコピー許諾回数の制限(最大4回)・携帯オーディオ本体側にランダムID番号を記録する機能の搭載などが決められた。
[編集] Rio 500
第二世代 (MP3・MPEG2.5・G.723・ADPCM・4種類、規格対応プレーヤー)
1999年8月末 ‐ 日本国内市場に34,800円(税別)で発売開始。(単3乾電池1本で、13時間以上の連続再生可)
- スペック ‐ 本体内部メモリー64MBのフラッシュメモリを内蔵、増設メモリーはスマートメディア、エフェクト、イントロ再生、全曲/1曲/A-Bリピート、ランダム再生が可能。パソコン接続にはUSB接続を使用したシステムを採用。Windows・Mac両方の規格に対応した。停止した位置から再生を開始するスペシャル・ブックマーク・コントロール機能を搭載。著作権管理機能「MetaTrust」で暗号化するシステムをバージョンアップで配布した。
[編集] Rio 600
第三世代 (MP3とWMA「Windows Media Audio」コーデック規格対応プレーヤー)
2000年8月末 ‐ 日本国内市場に19,800円(税別)で発売開始。(単3乾電池1本で、11時間以上の連続再生可)
- スペック ‐ 本体内部メモリー32MBのフラッシュメモリを内蔵、増設メモリーはSDカード、MMC(MultiMediaCard)対応に変更、ディスプレイ日本語表示対応。基本的な操作系スペックは第二世代と同一。ボディデザインが左右非対称なアルファベットのBに似たデザインで登場し、手に持った操作感、グリップ感などを重視したものになった。交換可能なフェイスプレートも採用。
[編集] Rio 800
第三世代 (MP3とWMA「Windows Media Audio」コーデック規格対応プレーヤー)
2001年8月末 ‐ 日本国内市場に36,800円(税別)で発売開始。(単3乾電池1本で、10時間以上の連続再生可)
- スペック ‐ 本体内部メモリー128MBのフラッシュメモリを内蔵、増設メモリーは本体下部にオプションとしてRioオリジナルフラッシュメモリーを搭載可能、ディスプレイ日本語表示対応。基本的な操作系スペックは第二世代と同一。Rio 800は、Rio 600の上位機種。ボディデザインが左右非対称なアルファベットのBに似たデザインも同一。ボイスレコーディング機能をこのモデルから搭載。
[編集] Nike psa[playシリーズ
- Nikeとの共同開発で誕生したプレイヤーで、32MB内蔵のNike psa[play 60と64MB内蔵のNike psa[play 120がある。 Nikeとの共同開発とあって、スポーツ向けにカスタマイズされている。
[編集] Rio Volt SP100
2001年3月発売
- Rioシリーズとして初のCDプレーヤー。音楽CDをはじめ、MP3、WMAファイルを記録したCD-R/RWメディアを再生することができる。ディスクアットワンス方式、トラックアットワンス方式、パケットライト方式に対応。1枚のCD-R/RWメディアに250曲以上のWMAファイルを記録でき、20時間以上の再生ができるとしている。また、最長120秒間のデータを先読みすることで音跳びを防止する「ESP(Electric Shock Protection」機能を搭載。CDの回転を一時的に止め電力消費量の低減が図れるため、単3アルカリ電池2本で最大約15時間の再生が可能である。iRiver iMP100のOEMであるため、本家のファームを入れることも可能。
[編集] Rio Volt SP250
2001年9月28日発売
- Rio Voltの最上位モデルでFMチューナーを搭載する。また、液晶付きリモコンが付属され、音飛び防止機能も最大2分間から、最大8分間に延長された。iRiver iMP250のOEMのためファイルを少し書き換えるだけで本家のファームを入れることが可能。
[編集] Rio Volt SP90
- Rio Volt250の廉価版として発売。 中身はSP100と同じだが、リモコンやライティングソフト、ACアダプタなどの付属品が省かれている他、ファームウェアのアップグレードによる機能追加に対応していない。
[編集] Rio Volt SP50
2002年4月12日発売
- Voltシリーズのエントリーモデルとして発売。 楽曲情報はID3タグとCDテキストに対応し、日本語曲名表示には対応していない。再生前に音楽データをメモリーに読み込むことで最大約120秒間の音跳びを防止する“ESP(Electric Shock Protection)機能”を搭載する。リピートモードやプログラム再生機能のほか、アルバムごとの検索や曲のアルファベット順検索などMP3用の機能を搭載する。また、これまでVoltシリーズはiRiverのOEMだったが、このSP50以降はiRiverのOEMではなくなった。
[編集] Rio Volt SP150
2002年11月29日発売
- Voltシリーズのエントリーモデルとして発売。 再生中の音飛びを防止する“SteadyPlay”機能を搭載しており、オーディオCDの場合は40秒または160秒、その他の場合は最大16分間、音飛びを防ぐことが可能という。このほか、再生しながらの早送り・巻き戻し速度を設定できる“スキャン速度の設定”機能や、ID3タグの情報を本体のディスプレーにスクロール表示する際の速度の設定機能を持つ。
[編集] Rio S10
[編集] Rio S50
[編集] Rio S35S
[編集] Rio riot
- HDDを採用した、試験的な意味合いの強い製品。HDDを使っているにもかかわらず、インターフェイスがUSB1.1であることから、転送速度は遅い。後のKarmaに搭載されたRio DJ機能の前身である機能を搭載し、パッシブリスニングの概念を確立させた製品。
[編集] Rio DR30
- ポータブルオーディオプレイヤーでスピーカーを内蔵した初めての機種。薄さを追求するため、電池はMDプレーヤーに使われるガム型ニッケル水素電池を採用している。
[編集] Rio SU30
- 韓国i-BEAD社のi-BEAD150のOEM品。 しかし、512MBモデルは違う模様。
[編集] Rio Chiba
[編集] Rio Nitrus / Rio Eigen / Rio Nitrus-S
- MP3プレイヤーで小型1インチHDD(1.5GB)を採用し、当時、小型で軽いが、容量を大きくすると高価になるシリコン型MP3プレイヤーと、容量は大きいが、その分重量もサイズも大きくなるHDD式MP3プレイヤーとの間を埋めるニッチ市場を開拓した。尚、同様の製品は、Creative社からも出ていた。余談だが、このHDDを開発したCornice社は、その後、大手HDDメーカー、Seagateに告訴されたため、HDDの供給が途絶えた。その結果、時期によっては、修理が大幅に遅れ、Rio Carbonに交換させられたケースもある。「Rio Nitrus-S」の赤いスティックが銀色になっただけのモデルも販売された。記憶容量は変わっていない。
[編集] Rio Karma
- 20GB HDDを搭載した製品。クレードルが標準で添付され、Ethernet接続、USB2.0に対応するため、Windowsからは専用アプリケーションで、MacやLinuxからはJavaアプリケーションで楽曲を転送できる画期的な製品。
[編集] Rio SU40
- 韓国i-BEAD社のi-BEAD200のOEM品。
[編集] Rio LIVE mini
[編集] Rio SU10
[編集] Rio SU35
- 香港AVC社のSiGN Si-100のOEM品
[編集] Rio SU70
- 韓国Median社のM-CODY MX-100のOEM品。
[編集] Rio Forge
[編集] Rio Carbon
[編集] Rio Unite 130
- 韓国Median社のM-CODY MX-250のOEM品。
[編集] Rio SU15-KJ
- コジマの創業50周年を記念して、発売されたもの。Rio LIVE gearのシルバーモデルが付属している。
stub
[編集] サポート
- 株式会社ディーアンドエムホールディングスによる、サポート業務は2005年の撤退後も、引き続き継続されている。
[編集] 関連項目
- InterTrust社(英語) ※デジタル著作権保護技術・MetaTrust Utilityを開発した企業。