O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~
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『O・TO・GI ~百鬼討伐絵巻~』(おとぎ ひゃっきとうばつえまき)は、フロム・ソフトウェアから2003年12月25日に定価6800円(税別)で発売されたXbox向け和風アクションゲーム。同メーカーより2002年12月12日発売の『O・TO・GI ~御伽~』の続編。
発売時、期間限定で『O・TO・GI』まるごと同梱キャンペーンなるものを実施し、前作である『O・TO・GI ~御伽~』の海外版『O・TO・GI:Myth of Demons』を同梱した二枚組スペシャルパックを通常版と同一価格で販売した。なおこのスペシャルパックの海外版は、内容こそ海外版だが起動できるのはXbox国内版本体でだけという『国内専用海外版』であった。
今作では平安時代に実在した人物である武将・源頼光とその四天王、そして陰陽師の安倍晴明をプレイヤーキャラの原型にしており、ゲーム中には前作に引き続き酒呑童子、そして新しく平将門、芦屋道満を原型にしたキャラも登場する。
前作である『O・TO・GI ~御伽~』とともに、2004年9月2日にプラチナコレクションが定価2800円(税別)で発売されている。
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[編集] 破壊
今作でも『ダイナミックに超破壊』というコピーが商品パッケージ裏にあり、前作同様ステージ中のさまざまなオブジェクトを破壊できる。オブジェクトの破壊状況を継続した再プレイが可能な事、ステージのクリア条件に関わる一部のオブジェクトは復活する事、これらも前作同様である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] キャラクター
- ライコウ
- 漢字表記では源頼光。名前の読みはゲーム画面上の振り仮名によればミナモトノライコウとなっており、ヨリミツとは誰も呼ばない。前作に引き続いてのメイン主人公だが、使用キャラの増えた今作では武器は剣のみ、使える巫術も弐之式までに限定されてしまった。性能に偏りが無く使いやすいバランスタイプのキャラ。
- 坂田公時
- 斧を使う。見るからにパワータイプな巨漢キャラ。巫術は苦手だが敵を掴んで投げ飛ばすことが出来る。四天王の中の火(か)の力を司る者であるため、装備中の霊符に関わらず属性は朱雀で固定されている。
- 渡辺綱
- 気性の荒い男。己の一族を根絶やしにした仇の土蜘蛛に復讐する力を求め獣人となった。巫術を使うよりも武器をふるっての直接攻撃に長けたキャラ。四天王の中の金(きん)の力を司る者であるため、装備中の霊符に関わらず属性は白虎で固定されている。
- 碓井貞光
- 大鎌を振り回し、式神の鴉を操り戦う。連続攻撃の手数と機動性の高さが取り柄なスピードタイプのキャラ。四天王の中の水(すい)の力を司る者であるため、装備中の霊符に関わらず属性は玄武で固定されている。なお、実際の碓井貞光と違い、このゲームでは性別が女性になっている。
- 卜部季武
- 自分の肉体を神木と一体化させている。その無数の根っこを垂らして宙を飛びまわる姿はイカかクラゲのような水中の生き物を思わせる。武器としている宝輪の攻撃範囲は広く、巫術に長け自分の防御力は低めである事と含め、距離を取っての戦闘に向いたキャラ。四天王の中の木(もく)の力を司る者であるため、装備中の霊符に関わらず属性は蒼龍で固定されている。
- 安倍晴明
- 眠りについていたライコウを四天王の命と引き換えに現世に呼び戻した。扇を武器として戦い、晴明だけの独自の巫術を使う。また、パワーキャラではないが公時同様に敵を投げる事が出来る。なお、実際の安倍晴明と違い、このゲームでは性別が女性になっている。
- 平将門
- 罪人の亡霊。かつて朝廷に仇なしたが、死した後もさらに妖鬼となって目的を遂げようとする。実際の平将門の最期を反映してか首無しの鎧武者の姿をしている。
- 芦屋道満
- 元は力のある巫術師だったが、さらなる力を求めて鵺になった(鵺といっても巫術の方の鵺とは特に関連性が無い。しかも巫術の鵺は白虎属性だが、鵺である道満の防御相性は蒼龍属性と正反対)。
- 酒呑童子
- 紅い髪をなびかせて立つ鬼の王。かつてライコウと戦い敗れた際、左の角を失った。今作ではメインのストーリーとは関係無しに後述の百鬼討伐モードにのみ登場する。
- 九尾狐
- 今作の最後の敵。月から地上へ飛来した九つの尾を持つ金毛白面の狐。都を滅ぼす事をたくらんでおりすでに幾度か行動を起こしているが、晴明がそれを食い止めてきた。天地の理を律する荒ぶる神であり、一介の妖鬼とは次元の違う力を持っている。
[編集] システム
- 武器
- ゲーム中では祭器と呼ばれる。今作ではライコウが使用するのは剣のみで、前作における武器の系統のバリエーションの代わりにプレイできるキャラクターそのものが増えている。使いこんだ武器の攻撃力が低下するという要素は今作では削除された。前作同様フロム・ソフトウェアのシンボル的な武器である『ムーンライトソード』がライコウ用の武器として存在している。
- 巫術
- 他のゲームで言う魔法にあたり、霊符を装備する事で使用可能になるがキャラによって装備できる霊符、できない霊符は決まっている。蒼龍属性の『蒼龍』、朱雀属性の『鳳凰』、白虎属性の『鵺』、玄武属性の『胡蝶』の四系統に加え、今作では清明専用の『青嵐』(蒼龍属性)、『金蜘蛛』(朱雀属性)、『六合』(白虎属性)、『凍牙』(玄武属性)がある。蒼龍、鳳凰、鵺、胡蝶の四系統にはそれぞれ壱之式、弐之式、参之式があるが清明専用の四種類には無い。巫力を消費して放ち、ボタンを押しっぱなしで術を溜め、威力を強化できる。ただし溜めの最中に他の行動は移動も含めて一切が不可能。区別として溜めて強化した巫術を強巫術、強化しないものを弱巫術と呼ぶ。
- コンボ
- 武器での弱攻撃を起点に同じ弱攻撃、強攻撃、巫術の三種類の行動に移行できる。弱攻撃をもたない公時のみ強攻撃が起点となる。
- ライコウ、綱、季武の三人は四段攻撃まで。貞光は九段、公時は三段攻撃まで。晴明のコンボは特殊で、弱攻撃のみのコンボは二段で限界だが、強攻撃か巫術ならば三段目に出せる。さらに三段目を巫術にした場合もう一段、四段目の巫術を放てる。
- ロックオン
- 敵一体のみに狙いを定めて行動するようになる。ロックオン状態ではカメラが常にその敵を追い続けるようになる上、巫術もその敵めがけて発射されるようになるので攻撃を集中させやすいが、目的地がある場合のフィールドの自由移動にはあまり向かない。デフォルトの設定では自動ロックオン有りだが、オプションで切り替え可能。
- 自動ロックオン有り:何も操作せずともロックオン可能な範囲にいる一番自分に近い敵を自動でロックオンし、その一体を倒すとまた新たに敵を自動ロックオンする。ロックオンしたくない場合、Lトリガーを引きっぱなしにすることで通常の状態を保てる。
- 自動ロックオン無し:Lトリガーを引くと敵一体をロックオンし、その一体を倒すと通常状態に戻る。ロックオン中に再度Lトリガーを引いても通常状態に戻る。
- ダッシュ
- Rトリガーでの高速水平移動。どのキャラもあまり徒歩の移動は速くないのでボス出現地帯までの移動や、吹き飛ばした敵への再接近など使用頻度は高い。敵をロックオンした状態だと通常時とは軌道が変わり、普段はできない高低差のある軌道での移動が可能になる。
- 体力
- ゲーム中、プレイヤーキャラの体力量は黄色の扇型のゲージと『生命珠』(=せいめいじゅ)という珠で現される。生命珠の数は最初は少ないが、レベルアップと『修羅命』(=しゅらだま)というアイテムの獲得で増えていき、その増加上限はキャラごとに異なる。
- プレイヤーキャラが攻撃を受けて傷つくと、まず扇のゲージが減る。減った黄色のゲージは巫力がある状態ならば時間の経過で勝手に回復していき、後に何も影響を残さないが、ダメージを受け過ぎてゲージが尽きると生命珠が砕けてしまう。砕けた玉はアイテムでしか回復させられず、全ての珠が砕けるとそのステージはミスとなる。
- こう書くと『残機・ライフ併用制』(※これについては残機の項目を参照)と同じシステムに思えるが、余りに強烈な攻撃を受けた時には一撃で複数の生命珠が砕けてしまうという点で異なっている。
- 巫力
- 青い扇型のゲージで現される。キャラごとの体力上限の違いが、表示される生命珠の数によって視覚的に分りやすいのに比べ、巫力は全キャラ共通の扇ゲージで表示される為キャラ間での上限の差が分りにくく、注意が必要である。時間の経過や巫術の使用等で減少し、敵を倒したりアイテムを取ったりする事で増加する。
- 巫力が尽きると、巫術やダッシュが使えなくなる上に体力が減少を始め、さらに水上で行動するステージでは水面に立っていられなくなる(沈んでしまいミスになる)。つまりはこのゲージの残量が実質的な残り時間であり、あまりモタモタしたプレイはできなくなっている。本作の大半のステージでは出現する敵の数が限定されている(つまり巫力回復の機会が限られている)のだが、ステージによっては無限に敵が登場するので、それを倒し続ける事で延々プレイが可能。また、投げの技能を持つ公時と晴明のみ、掴んだ敵を投げずにそのまま掴み続けている事で敵から巫力を吸収し回復できる。
- 言霊
- 前作の形代にあたる存在。1~26ステージにいくつかずつ封印されていて、それぞれ特定のオブジェクトを破壊する事で解放できる。全ての言霊を救済する事で晴明用の武器『月光扇』を入手できる。
[編集] 百鬼討伐モード
本編のストーリー展開とは別に存在するモード。本編同様に妖鬼と倒すか倒されるかの戦闘をするステージもあるが、『現れる壁をたくさん砕く』『ひたすら敵弾を避け続ける』などのミニゲーム的な内容が多い。プレイしなくても本編のクリアに直接は差し障らないものの、こちらをプレイしないと手に入らないアイテムや武器が多数ある。
[編集] 二周目
クリア状態のデータがセーブされた本体では前作同様にゲーム開始画面に『再臨』の文字が増え、各キャラクターのレベル、生命珠の数、入手したアイテムなどはそのままに二周目のプレイを開始できるようになる。
- 制限解除
- 二周目ではキャラごとの霊符の装備制限が解除される。『蒼龍』『鳳凰』『鵺』『胡蝶』の四系統の壱之式までしか装備できなかった公時のパワーアップぶりは著しいが、もともと巫術に長けた季武、晴明では有り難味がやや薄い。
- 月の雫
- ショップで新たに月の雫という高額アイテムが購入可能になる。これを購入するとライコウの武器にムーンライトソードが加わる。
- ただしXbox本体に前作『O・TO・GI ~御伽~』のセーブデータがある状態でゲームを開始した場合には、一周目から月の雫がショップにある。上述のスペシャルパック同梱の『O・TO・GI:Myth of Demons』のセーブデータは『O・TO・GI ~御伽~』と区別が無く(事実どちらのソフトからもロードできる)スペシャルパックを購入したユーザーは国内版の前作を持っていなくともこの要素を楽しむ事ができた。
[編集] 備考
アクションゲームながらも経験値によるレベルアップ制などの成長要素が取り入れられており、キャラを全く成長させないままではクリアは困難。だが逆に成長させきってしまうと今度は難易度が下がり過ぎ、緊張感が失われるという面もある。一度成長させてしまったキャラの能力の初期化はできない。本作に限らず同様のシステムを持ったゲームに良くある事で、戦闘があくまでも前進の手段でありゲーム性の中心ではないロールプレイングゲームと違い、敵を倒す部分こそ醍醐味のアクションゲームにおいては楽しみそのものが薄まるという事であり、プレイヤーは自分の腕前と相談し過度の強化は避けるという工夫が必要になってくる。
主要キャラクターである晴明の原型となった実在の安倍晴明が、葛の葉という名の白狐が人間との間に産んだ子供であるという伝承を持っている事が本作品終盤の展開の伏線となっている。また信憑性は定かではないが、平将門の子、将国が後に安倍晴明となったのではないかという説がある事もあわせて知っていると、敵としてのみといえどもゲーム中に将門が登場する事が(無論、本ゲーム中の将門と晴明が親子関係であろうとは思われないが)少し面白い。
[編集] 関連作品
- 『キングスフィールド』シリーズ ‐ 武器ムーンライトソードが本来登場するのがこの作品。
- 『METAL WOLF CHAOS』 ‐ 巫術蒼龍が(兵器に形を変えて)主人公用の武器として登場している。(※ メーカーはともにフロム・ソフトウェア)