Intel SpeedStep テクノロジ
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Intel SpeedStep テクノロジ(インテル スピードステップ - 、Intel SpeedStep Technology)はPentium IIIから搭載されたインテルの省電力技術。単にSpeedStepとも呼ばれる。拡張規格のEnhanced Intel SpeedStep Technology(略称: EIST)も存在する。
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[編集] 概要
SpeedStepは、バッテリー駆動のポータブルPC向けに開発された、CPUの消費電力を抑える技術である。 Transmeta社がCrusoeで省電力を最大の武器にx86アーキテクチャCPU市場に参入してきた。省消費電力はそれまではあまり省みられない分野だったが、競合する製品に危機感を抱いたIntelは従来製品を小改良にて競合できるようにする必要に迫られ、SpeedStepを開発するに至った。
バッテリー駆動か商用電源駆動かを判断し、バッテリー駆動ならCPUの動作周波数と駆動電圧を落として消費電力を低減させる。また、一部のユーティリティを利用すれば電源に依存せずに動作モードを切り替えることができる。
前述のとおりポータブルPC向けに開発された技術だが、デスクトップPC用CPUの消費電力も飛躍的に増大してきているため、EISTはデスクトップ用CPUにも搭載されている。
コードネームは「Geyserville」。
[編集] SpeedStep テクノロジ(第一世代)
Mobile Pentium IIIプロセッサで最初に実装された省電力機能。AC電源時の最大処理と電池電源時の省電力処理とで2種類の動作モードを備える。
[編集] SpeedStep テクノロジ(第二世代)
Mobile Pentium III-MプロセッサとMobile Pentium 4-Mプロセッサで実装された省電力機能。従来は電源の違いでモード切替を行っていたが、電源によらず状況によるモードの切り替えも可能にした。コードネームは「Geyserville-II」。
[編集] 拡張版 Intel SpeedStep テクノロジ(EIST)
拡張版 Intel SpeedStep テクノロジ(Enhanced Intel SpeedStep Technology、略称: EIST)は、その名の通りSpeedStepを拡張した規格である。従来のSpeedStepは処理能力では最大速と最低速の2種類のモードの切り替えだったが、EISTでは数段階の中間速が加えられた。最初のSpeedStepの導入時の説明でIntelは、CPUが動作している最大時としていない最低時の2種類だけで十分な省消費電力の効果があると言っていた。しかしAMDやTransmetaといった競合他社の同等機能が多段階可変であった為にそれに追従したこと、そしてメディア再生という必要とするのは低い処理能力ではあるがその状況が連続して発生する状況には多段階である方が有利だったからだと言える。しかしEISTの発表後は電源の状態や可変段数は無関係にSpeedStep規格は全てEISTという名称になっている。コードネームは「Geyserville-III」。
AC電源にて稼動するサーバー向けやデスクトップ向けのCPUでは電池の消耗は考慮する必要はないが、処理能力の向上とともに消費電力が増大し、平均消費電力や同発熱を低減が必要な程度までになってきた。必要不可欠な機能に数えられるようになり、今後はほぼ全てのCPUに標準装備となるようである。
[編集] Demand Based Swiching テクノロジ(BDS)
Dual-Core Xeon 5100シリーズに最初に搭載された省電力機能。全く同じ製造ラインで製造しているCore 2 Duoの省電力機構はEISTと呼んでいることから、内容的にはほとんど同じものだと思われる。
[編集] Foxton テクノロジ
消費電力および廃熱が許す場合に許容範囲で処理能力を向上させる機能。SpeedStepの逆のバージョンと言える。現在のところ商品化は行われていない。Foxtonは開発呼称であって正式名称は違ったものとなると思われる。
[編集] 関連項目
- PowerNow! (AMDによる省電力技術)
- Cool'n'Quiet (AMDによる省電力技術)
- LongRun (Transmetaによる省電力技術)