Intel 8048
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Intel 8048(以下頭の「Intel」省略)はインテル初のマイクロコントローラである。マグナヴォクス オデッセイ2テレビゲーム端末に用いられ、派生型の8049は初期のIBM PCのキーボード端子に用いられた。8048は恐らくMCS-48ファミリーの中で最も顕著な存在であろう。フェアチャイルド F8マイクロプロセッサからの影響をうけており、類似点もみられらる。
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[編集] 構成
8048のアーキテクチャはハーバード・アーキテクチャの変形であり、プログラム用ROM(内蔵または外付け)とデータ用RAMを分離して持っていた。27個のI/Oポートを持つが、それらは独自のアドレス空間にマップされ、プログラムやデータとは分離されている。また1回路の8bitタイマ・カウンタを自前でもっていた。8048の内蔵ROMは1KBで、外付けのプログラム用ROMを用いることもできた。内蔵RAMは64バイトであった。ROMの種類、メモリ容量によってファミリーを形成し、例えば8049は2 KiBのマスクROM(8749はEPROM)を内蔵しており、このROMは4 KiBの外部ROMで置き換えることができる。
外部から供給されたクロックは内部の発振器ブロックによって15の内部フェーズに分割される。そこで、最高動作周波数である11MHzの水晶発振器を接続すると、0.73MIPS(1クロック命令について)の性能が出る。1CPUサイクルで実行できる1バイト長の命令もあるが、多くの命令は2CPUサイクルないし2バイトを必要とする。従って実際の動作速度は0.5MIPS程度である。
[編集] MCS-48ファミリー
まとめ。以下、型番、内蔵ROM容量(KB)、内蔵RAM容量(B)を示す。
- ROMなし(外付けのみ)
- 8035 - 64
- 8036 - 128
- 8040 - 256
- マスクROM
- 8048 1 64
- 8049 2 128
- 8050 4 256
- UV-EPROM
- 8748 1 64
- 8749 2 128
[編集] 応用
8048は後に開発された8051に駆逐されつつあるが、21世紀を迎えた時点でもなお極めて広く用いられている。コストが低く、広範な応用範囲を持ち、1バイト命令セットによってメモリ利用効率が高く、枯れた開発用ツールが存在することがその理由である。そのため、大量生産される民生用電子機器、例えばTVのリモコン、玩具等といったコストダウンが至上命令であるような製品によく用いられる。
ほとんど全てのIBM PC ATキーボードが変種である8049AHマイクロコントローラを搭載していることが知られている。PC側には8042が搭載され、ポート番号60Hを通してアクセスすることができる(Pentium II以上を積んだPCでは、8042の機能がチップセットに内蔵されている)。日本電気PC9801シリーズでは、キーボード側は8048を、本体側は8251Aをもち、I/Oアドレス43Hでアクセスすることができた。キーボードと本体の間はシリアル通信が行われた。
他の変種としては、ROMを持たない8035が任天堂のアーケードゲーム『ドンキーコング』に用いられた。マイクロコントローラの用途としては変わっているが、ゲームのバックに音楽を流すためである。
[編集] 関連項目
- Intel 8051 - 8048に比べ、高速化がなされ、シリアルインタフェースも内蔵するようになった。またメモリ空間の拡大と命令の強化がなされた。
[編集] 外部リンク
- MCS-48 - try's pageの一部。命令セットなども詳しく説明されている。
- MCS-48 family architecture (PDF)
- Coprolite 8048 Projects
- The PS/2 Keyboard Interface - PS/2キーボードインターフェースの解説(英語)。