近衛府
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近衛府(このえふ)は令外官のひとつ。765年に授刀衛を改めて設置された。左近衛府と右近衛府の二つが存在する。(左右)衛門府、(左右)兵衛府とあわせて「六衛府」と呼ばれる。別名「おおきちかきまもり」「ちかきまもりのつかさ」と呼ぶ。
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[編集] 変遷
近衛府自体は、授刀衛を改めて設置された。その近衛府は後に左近衛府になる。中衛府という役所もあり、これが近衛府の設置されて後に左近衛府と同時に改められ、右近衛府になった。また、外衛府というものもあったが、(左右)近衛府が設置されたときに分配された。
[編集] 内部官職
- 大将
- 左右に各1名。一等官「カミ」に相当。権官はない。近衛府の総督。従三位相当の官職だが、大納言に勝る重責の職。「馬御監」を兼任。また、「羽林大将軍」という唐名で呼ぶこともある。左近衛大将・右近衛大将をそれぞれ「左大将」・「右大将」と呼ぶ事がある。
- 中将
- 左右に各1~4名。二等官「スケ」に相当するが、少将も「スケ」であるので「おお(大)いスケ」と呼ばれた。当初は1名だったが後に増員された。権官あり。後には正員は置かれず、権官のみとなる。従四位下相当の官職。三位の官位の人がこの職につくと「三位中将」と呼ばれ、参議の官職の人がこの職を兼任すると「宰相中将」、蔵人頭の官職の人がこの職を兼任すると「頭中将」と呼ばれる。次の少将とあわせて「三笠山」「次将」という別名がある。
- 少将
- 左右に各2~4名。二等官「スケ」に相当するが、中将も「スケ」であるので「すな(小)いスケ」と呼ばれた。当初は2名だったが後に増員された。権官あり。後には正員は置かれず、権官のみとなる。中将とほぼ同じ職掌。正五位下相当の官職。四位の官位の人がこの職につくと「四位少将」と呼ばれる。
ここまでが幹部職員で、これ以下を近衛舎人と呼ぶ。
- 将監
- 各1名~10名 三等官「ジョウ」に相当。現場指揮官で護衛、警護の体制を組み立てる。
- 将曹
- 各4名~20名 四等官「サカン」に相当。現場指揮官で将監の指揮のもと、配下の人数を直接指揮する。
- 番長
- 各6名 行幸や高官の外出時の警護の際、騎乗を許可され、前駆する。
- 近衛
- 各300名。
その他にも役職有り。
[編集] 所管範囲
御所の内側(主に内裏の中心部)。行幸などの際には行幸の行列。また、皇族や高官の警護も担当。
[編集] 関連事項
カテゴリ: 令外官 | 廃止された日本の国家機関