菌糸体
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菌糸体(きんしたい mycelium)は、菌糸の集合体のことであり、糸状菌の栄養体その物である。
菌糸からなる菌類、つまり糸状菌の体はそれぞれがほぼ同一の構造を持つ菌糸からなり、それが枝分かれしながら広がっているが、その広がり全体、あるいはその集団を菌糸体という。菌糸は基質の表面かその内部に広がるから、野外においては外見的に菌糸体をまとまりとして認識するのは困難である。培養した場合には、よりたやすく把握することができる。
ペトリ皿の寒天培地上で糸状菌を培養した場合、接種した点を中心として円形のコロニーが形成されるのが見られる。これは、菌糸の枝分かれが当初はあらゆる方向に向かうが、次第に互いにほぼ平行な方向に向かうようになっているためである。理由については諸説あるが、定かではない。ペトリ皿は平らなので下向きの菌糸の伸びは観察しがたいが、試験管で培養すれば、寒天培地中に深く菌糸が伸びるのが見える。したがって、形に制約がなければ、菌糸体の形は成長が始まった点を中心とする球形になると予想される。液体培地中では菌糸はボール状になる例もある。
野外においては好適な基質がそのように均一に広がっているとは限らないので、その形は好みの基質の形によって制約されると考えられる。
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