荀子
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荀子(じゅんし)は、中国の戦国時代末の思想家・儒学者。名は況、字は卿。紀元前四世紀末、趙に生まれる斉の襄王に仕え、その稷下の学の祭酒(学長職)に任ぜられる。後に、讒言のため斉をさり、楚の宰相春申君に用いられて、蘭陵の令となり、任を辞した後もその地に滞まった。後漢の荀彧・荀攸はその末裔に当たると言う。
目次 |
[編集] 著作物
『荀子』 - 「藍より出でし青は藍より青し・・」の書き出しで有名である。当初は「孫卿新書」という名の12巻の書物だったが、唐の楊倞により篇され、注釈を加えた20巻となり、「荀子」と改められた。人間の性は悪だが、後天的努力(すなわち学問を修める)ことにより矯正することができるとする性悪説を説き、孟子の云う性善説を批判した。また儒家の云う「天」を自然現象であるとして、それまでの儒家の思想に変化を齎した。礼・義による人間規制を重く見た思想が弟子の韓非や李斯へと受け継がれ法家思想を生み出す契機となった。
[編集] 思想
性悪説で知られる荀子の思想だが、その“悪”の概念は現代日本人のそれとは大きく異なる。要約すると「人間には欲があり、その欲には際限がない」、その「際限ない欲を満たそうとすること」を悪と表現している。そして学問を修めるのは分を弁える(“欲”を制御する)ためであるとしている。
また天譴思想を否定している。「流星も日食も、珍しいだけの自然現象であり、為政者の行動とは無関係だし、吉兆や凶兆などではない。これらを訝るのはよろしいが、畏れるのはよくない」。また祈祷等の超常的効果も否定している。「雨乞いをしてから降った雨と雨乞いは関係がない。雨乞いをしなくても雨が降るのと同じである」。「為政者が重要な決定に際して占いを用いるのは自らの決定を正当化するためだけであるべきだ(決定と占いの結果は関係がない)」。「天に仕える手間暇で、自然を使うべきだ」。しかしこれをもって荀子が天を否定したと考えるのは行き過ぎである。