色空間
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色空間(いろくうかん)とは、色を数値(チャンネルと呼ぶ)の組み合わせによって表現するための方法。英語のColor Spaceからカラースペースともいう。また、色空間が表現できる色の範囲を色域という。色空間は3種類か4種類の数値を組み合わせることが多い。色空間は主に色の再現(特にデジタルの表現)に役立つ。デジタル印刷やディスプレイなどには欠かせないものである。
色空間の種類によって、しばしば円柱状や六角錐、円錐、球などの形状として説明される。
なお、色空間にはファイルとして記録可能な色空間 (RGB, RGBA, YCbCr, CMYK, L*a*b*) と記録できない色空間(その他)がある。
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[編集] 一般的な色空間
色を数値的に表すための体系を表色系といい、通常は3つの軸を持つ3次元空間で表現されることから、色空間の名がある。
[編集] RGB
RGBは一般に、加法混色を表現するのに使われる。光の三原色であり、数値を増すごとに白に近づく。反対に、数値を減らすごとに黒くなる。コンピュータのモニタで用いられるのも、このRGBである。RGBは、それぞれ赤 (red) 緑 (green) 青 (blue) の頭文字である。
実際問題、RGBにはさまざまな種類のものがある。例えば赤といってもいろいろな赤があるのであって、赤・緑・青の基準を定めないことには正確な色表現ができない。さまざまな表色系が存在するが、それぞれの表色系ごとに、赤・緑・青の基準が定められている。
コンピュータで同時に表示可能な色数は、ビデオメモリにおいて各ピクセルに何ビットの情報を割り振るかにより決定される。かつてメモリが高価だった頃には表示色はかなり限られていたが、現在ではRGB各8ビット、計24ビットを割り振る事で、理論上人間の目で識別可能な1677万7216色(フルカラー、トゥルーカラー)の表示を可能にしている。
[編集] RGBA
RGBAはRGBの色空間に加えて、アルファチャンネルも色決定に考慮させる。これは、透過(透明度)を表現するものである。
[編集] sRGB / AdobeRGB
RGB色空間に関する規格として、「sRGB (standard RGB)」と「AdobeRGB」の2種類がある。sRGBは国際電気標準会議 (IEC) が定めた国際標準規格であり、一般的なモニタ、プリンタ、デジタルカメラなどではこの規格に準拠しており、互いの機器をsRGBに則った色調整を行なう事で、入力時と出力時の色の差異を少なくする事が可能になる。AdobeRGBはAdobe Systemsによって提唱された色空間の定義で、sRGBよりも遥かに広いRGB色再現領域を持ち、印刷や色校正などでの適合性が高く、DTPなどの分野では標準的に使用されている。
[編集] CMY
CMYは印刷の過程で利用する減法混色の表現法である。絵の具の三原色。基本色は白で、それに色の度合いを加えて、黒色にしていく。すなわち、始めは白いキャンバスから始め、インクを加えて暗くしていく(光を減らす、すなわち減法)ということである。CMYには、シアン (cyan)、マゼンタ (magenta)、イエロー (yellow) インクの数値が含まれている。
[編集] CMYK
理論上、CMYをすべて均等に混ぜると黒色になるが、インクや紙の特性上、CMYのインクを混ぜて綺麗な黒色を作るのは技術的に困難であり、通常はすべてを混ぜても濁った茶色にしかならない。そこで、黒(Key plate)の発色をよくするために別途黒インクを用いるようになったのがCMYKである。キー・プレート (key plate) とは画像の輪郭など細部を示すために用いられた印刷板のことであり、通常黒インクだけが用いられた。なお、Kは"blacK"の略とされることが多いが、これは本来誤りである。
印刷物では、文字などで黒は多用されるため、インクの節約にもなるので、現在ではもっとも使われている。
[編集] CMK
CMKは印刷の過程で利用する減法混色の表現法で、絵の具の三原色からイエロー (yellow) を除いた表現である。CMKには、シアン (cyan)、マゼンタ (magenta)、そして黒 (black) のインクの数値が含まれている。 一般的にイエローの使用頻度が少なく、CMKだけで十分表現可能であり、印刷コストも下がることから低価格印刷物に利用されている。
[編集] HSV
HSVはコンピュータで絵を書く場合や、色見本として使われる。これは、色を色相(色味)と彩度という観点から考える場合、加法混色や減法混色よりも自然だからである。HSVには色相 (hue)、彩度 (saturation value)、明度 (value) が含まれている。HSBとも呼ばれる。
[編集] HLS
HLSは、HSL、HSIなどとも呼ばれる。色相 (hue)、彩度 (saturation)、輝度 (lightness) よりなる、HSVに近い表現法である。
[編集] 放送用
[編集] YIQ
YIQは、NTSCテレビ放送で経緯があって使用されている。YIQにはルミナンス(輝度)と2つのクロミナンス(色差、YIQの場合大体色の中の青と赤の量に相当)の値が含まれる。このことはPALテレビやJFIF形式のJPEG画像で用いられるYUV(YCC、正確にはYCbCrとも)に非常に似ている。
YIQは1950年代当時のカラーのブラウン管の性能に基づき定められている。当時は青の発色が悪かったため、YIQは青の表現力に欠ける面がある。テレビ・ビデオのデジタル化に伴い、YPbPrなどにとって代わられるであろう。
[編集] YCbCr / YPbPr
別名をYUVやYCCと言う。YIQも基本的には同じ仕組みである。なお、Adobe社のPhotoshopではこれと似た形式をL*a*b* (Luminescence alpha beta) カラーとして扱っている。Yは輝度信号(明るさ)を示し、Cb (U) は青の差分信号、Cr (V) は赤の差分信号を示す。
一般的に最も使われている色空間でテレビ等につなぐ方式はほぼこの方式を使っている(パソコン用ディスプレイはRGBで送るのが基本)。これには様々な方法があり、一般的に使われている黄色のケーブルではYCと呼ばれる差分信号部分を一つにまとめて送る。このケーブルをコンポジットといい、高画質テレビなどでよく使われるD端子や緑青赤の三色ケーブルを用いるものをコンポーネントという。過去にはパソコン用ディスプレイにもBNCケーブルを使い、コンポーネント方式を使ったディスプレイがあった。
なお、特にYUVで帯域を減らす際に色差分を減らす方法も存在している。
- YUV444 (YUV) : 4ピクセルごとに色差分と輝度を1ピクセルごとにとる方式。1ピクセル24ビットとするのが一般。
- YUV12 : 各ピクセルを表現するのに必要なビット数が12ビットのYUV。YUV420とYUV411の総称。
- YUV422 : 2×2ピクセルから色差信号を1だけとる形式。輝度信号は1ピクセルごとにとる。1ピクセルは16ビット(デジタル放送ではこれが採用されている)。
- YUV420 : 2×2ピクセルのうち、青の色差信号を最初のラインから取り、赤の色差信号を次のラインからとる方式。輝度信号は1ピクセルごとにとる。
- YUV411 : 2×2ピクセルのうち色差信号を各色1つだけとる形式。輝度信号は1ピクセルごとにとる。
- YUV9 : 4×4ピクセルで1つの色差信号しかとらない方式。輝度信号は1ピクセルごとにとる。1ピクセルは9ビット。
RGBからの変換式は
- Y = 0.29891 × R + 0.58661 × G + 0.11448 × B
- Cb (U) = -0.16874 × R - 0.33126 × G + 0.50000 × B
- Cr (V) = 0.50000 × R - 0.41869 × G - 0.08131 × B
逆にRGBに変換するときは
- R = Y + 1.40200 × Cr (V)
- G = Y - 0.34414 × Cb (U) - 0.71414 × Cr (V)
- B = Y + 1.77200 × Cb (U)
[編集] 商業印刷用
[編集] マンセル表色系
色相、明度、彩度の3属性を用いて色を表す。詳細はマンセル表色系を参照されたい。
[編集] DIC
大日本インキ化学工業 (DIC) 社のカラーシステム。印刷用インキと密接に結びついているために再現性が高い。
[編集] Pantone
米国Pantone社のカラーシステム。デザイン・建築分野で広く使われている。
[編集] NCS color system
[編集] CIE表色系
CIE(国際照明委員会)が定める各種の表色系。
[編集] RGB
3原色仮説にもとづきCIEが1931年に定めた表色系(当時はまだ仮説の域を出ていなかった)。R・G・Bの波長と強度係数を定めている。
[編集] XYZ
RGB表色系では特定の波長域でマイナスの係数が存在するなど、計算に不便である。したがってRGB表色系を単純な一次変換でマイナスをなくしたXYZ表色系を、CIEは1931年にRGB表色系と同時に定めた。XYZ表色系は他のCIE表色系の基礎となる。
RGB表色系と異なりXYZ表色系では、それぞれの数値と色彩との関連がわかりにくい。Yは明度を表し、Zはおおむね青みの度合いを表すと考えてよい。Xは、それら以外の要素を含むと考えられる。
[編集] xyY
XYZ表色系では数値と色の関連がわかりにくい。そこでXYZ表色系から絶対的な色合いを表現するためのxyY表色系が考案された。
YはXYZのYをそのまま使う。このxとyを色度座標と呼び、すべての色はxとyによる2次元平面、および明度を示すYで表現できる。当然ながら、xyYからXYZに変換することもできる。
[編集] OSA
[編集] UCS
Uniform Color Spaceの略、均等色空間とも
[編集] L*u*v*表色系
CIEが1976年に定めた均等色空間のひとつ。CIELUV(エルスター、ユースター、ブイスターと読むのが一般的)は光の波長を基礎に考案されたもので、XYZ表色系のxy色度図の波長間隔の均等性を改善したものである。日本ではJIS Z8518に規定されている。
[編集] L*a*b*
CIE L*a*b*(エルスター、エースター、ビースター、慣用的にはシーラブと読む)はXYZから、知覚と装置の違いによる色差を測定するために派生した。L*はLuminance(輝度)を意味する。1976年に勧告され、日本ではJIS Z 8729に規定されている。だが、使うのはあまり簡単でないらしい。
ある色と他の色の色差を知るには、L*軸、a*軸、b*軸の差をそれぞれ二乗したものの和の平方根、
を(つまり、2つの座標の距離を)求めればよい。
CIE 1976 L*a*b*はCIE XYZを直接の基礎として、色差の知覚の線形化を試みている。L*、a*、b*の非直線関係は、目の対数的な感応性の模倣を目的としている。色情報は、色区間の白色点nの色を参照する。
[編集] 過去に用いられていた色空間
[編集] RG, RGK
赤 (Red) と緑 (Green) の強度で色を指定する方法。赤と緑の合成は、RGB色空間と同様に、加算により行なわれる。青 (Blue) がないので、青成分を含む色が正しく表現できない。テクニカラーフィルムで使われていた。RGK色空間はRG色空間にキー(Key, インクの黒、CMYK色空間でも使われる)を追加した色空間である。
参考(英語版): en:RG color space
[編集] オストワルト表色系
マンセル表色系が心理的考察に基づいているのに対し、オストワルト表色系は心理物理学的考察に基づいている。デザイン分野で利用されることが多い。