自然公園法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
通称・略称 | なし |
---|---|
法令番号 | 昭和32年法律第161号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 環境法 |
主な内容 | 自然保護など |
関連法令 | 自然環境保全法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
自然公園法(しぜんこうえんほう)は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、国民の保健、休養及び教化に資することを目的として定められた法律。(第1条)
国立公園・国定公園・都道府県立自然公園からなる自然公園を指定し、自然環境の保護と、快適な利用を推進する。
昭和32年(1957年)6月1日法律第161号) 最近改正:平成16年6月9日
目次 |
[編集] 内容
自然公園は、環境大臣が指定する国立公園・国定公園、都道府県知事が指定する都道府県立自然公園があり、いずれも自然環境の保護と快適で適正な利用が推進されている。土地の所有に関わらず地域が指定されているため、公有地のほか、民有地が含まれている場合もある。
国立公園は環境省が管理し、国定公園・都道府県立自然公園は都道府県が管理する。
2003年末現在、国立公園は28箇所、国定公園は55箇所、都道府県立自然公園は308箇所指定されており、面積の合計は、日本の国土の約14%を占める。
なお、都市公園法に基づき指定されるものは、都市公園(国営公園など)と呼ぶ。
[編集] 策定の背景
自然公園法の前身は、1931年(昭和6年)に制定された国立公園法である。この法律によって、一定の条件を満たす地域を公園として指定し、利用の制限を行った。
国立公園法によって、国立公園は19箇所、国定公園は16箇所の地域が指定された。
国立公園法では、都道府県立自然公園は、国立公園・国定公園と目的が同じであるにもかかわらず、法律上の根拠が曖昧であったこと、また、国立公園に関する開発制限の規定も実効性の乏しいものであったことから、1957年に、国立公園法を全面改定した自然公園法が制定された。
[編集] 自然公園の保護と利用
自然公園の指定地域では、開発を全面的に禁止してはいない。公有地のほか、民有地も含まれるため、農業や林業、その他の産業活動を行なうことも一定の条件下で許容している。
自然公園では、地域の自然環境の実情に応じて、どのような保護や利用を行うか計画するため、「公園計画」を策定している。この公園計画では、保護や利用のについて以下のような地区を設定し管理を行っている。
- 特別地域
公園の風致を維持するための地域。用途に応じて、第一種から第三種まで区別がある。以下の行為には、許可が必要となる。
工作物の新築・改築、樹木の伐採、鉱物の採取、河川・湖沼の取水・排水、広告の掲示、土地の埋立・開墾、動植物の捕獲・採取、施設の塗装色彩の変更、指定区域内への立入、指定区域内での車の使用など
-
- 第一種特別地域
- 特別保護地区に準ずる景観を有し、特別地域のうちでは風致を維持する必要性が最も高い地域であつて、現在の景観を極力保護することが必要な地域
-
- 第二種特別地域
- 特に農林漁業活動についてはつとめて調整を図ることが必要な地域
-
- 第三種特別地域
- 特に通常の農林漁業活動については原則として風致の維持に影響を及ぼすおそれが少ない地域
- 特別保護地区
特別地域内で、特に重要な地区。以下の行為には、許可が必要となる。
特別地域での行為、樹木の損傷・植栽、家畜の放牧、物の集積・貯蔵、たき火
- 海中公園地区
海中の景観を維持するための地区。1970年の改正で設定された。以下の行為には、許可が必要となる。
工作物の新築・改築、鉱物の採取、広告の掲示、動植物の採取、埋立・干拓、海底の形状の変更、物の繋留、排水
- 普通地域
特別地域や海中公園地区に指定されていない自然公園の地域。以下の行為には、届出が必要となる。
工作物の新築・改築、特別地域の河川・湖沼へ影響を及ぼすこと、広告の掲示、水面の埋立・干拓、鉱物の掘採、土地や海底の形状の変更
[編集] 構成
- 第1章 - 総則(第1条~第4条)
- 第2章 - 国立公園及び国定公園
- 第1節 - 削除
- 第2節 - 指定(第10条~第11条)
- 第3節 - 公園計画及び公園事業(第12条~第16条の2)
- 第4節 - 保護及び利用(第17条~第24条)
- 第5節 - 費用(第25条~第31条)
- 第6節 - 雑則(第32条~第40条の2)
- 第3章 - 都道府県立自然公園(第59条~第68条)
- 第4章 - 罰則(第69条~第76条)
- 附則(抄)