股布
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股布(またぬの)とは、ズボンの二重布、ショーツの股部にある補強目的の生地を2重に縫製した部分。一般的には「クロッチ」「シック部」等と呼ばれる。下着の場合ナイロン製などの素材でも、この部分の裏は白色の綿製であることも多い。
クロッチの始まりは、19世紀ヨーロッパの乗馬ズボンの補強布といわれている。アメリカでは極端に布が手に入り難かった開拓時代初頭、合理的に弱った布の部分だけ繕えるようズボンの身頃と股布を型紙別にパターン取りし、縫製したズボン「モンキーパンツ」がカウボーイに広まった。現代でも男性用のタイツ、ステテコ、猿股、パッチ等にこの股布が縫製されるのは、明治時代に導入された洋装の余波と推測される。
軽失禁ショーツ、老人用パンツ、介護パンツ、サニタリーパンツでは、この部分よりもっと広い面積や全体にベビービニールあるいはその他の防水布を施したり、老人用には尿などを吸収するオムツを組み込んだ製品もある。軽失禁などの微量の尿などによる汚れを防ぐ目的でパンティライナーや尿吸収パッドを使う事も多い。昨今は老人人口の増加や、糖尿病や生活習慣病を複合したメタボリック症候群により尿のトラブルを抱える成人が急増するとみられる。