聴診器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
聴診器(ちょうしんき,Stethoscope)とは心臓、肺、血管などの出す音を聴き診断する聴診に用いる道具。
1816年、フランスのルネ・ラエネクが子どもが木の棒の端に耳をあてて遊んでいるのを見て聴診器を発明した。これは1本の筒形の木でできていた。以前は直接皮膚に耳を当て、音を聴いていた。
今日用いられているものには皮膚に直接あてる部分がラッパ状のものと、うすい振動板になっているものとがある。この部分で音を拾い、分岐したゴム管で両耳につたえる。近年では、集められた音を電気的に増幅する聴診器も開発されている。
市場では形状的にはチューブの中にばねが入っているものをドクタースコープ、スプリングが外付けのもの(掲載されている写真のもの)をナーススコープという。
目次 |
[編集] 各部の名称
シングルタイプはダイアフラム面のみで、ダブルタイプはダイアフラム面とベル面がリバーシブルになっている。
- チェストピース - 皮膚に当てる部分。
- ベル - ラッパ状になった集音部分。聴診器の形の原点。心音、過剰心音、心雑音、血管音など、低調音を聴くのに適する。皮膚に接触する際に冷たくないように、ゴムのリングが金属製の円形部を囲んでいるものが多い。
- ダイアフラム - 集音のためにチェストピースに張られた膜。低音域をカットし、高音域を強調する役目がある。呼吸音、心音、心雑音、血管雑音など、高調音を聴くのに適する。チェストピースを押さえる圧を調節することで、高調音と低調音を聞き分ける機能をもたせたダイアフラムもある。
- ゴム管 - チェストピースと耳管をつなぐ管。チェストピースから左右の耳管に分岐するまでの間が、1本の管のもの、1本の管で内部に隔壁があるもの、2本の管のものがある。塩化ビニール製のものが多い。
- 耳管 - 左右の耳に当てる屈曲した金属管。耳管、板バネ、ゴム管が一体化しているものが多く、バイノーラルと呼ばれる。
- イヤピース - 耳管の先端に付く耳に挿入する部分。取り外して洗浄が可能。
[編集] 医療以外での使用
[編集] 聴診器に関する誤解
聴診器は振動版によって直接触れた部分の振動音を増幅するものであり、一般に思われているように壁に当てて隣の部屋の音を聞いたりすることにはあまり効果がない。同様の理由から振動部に向かって大声で話しても聞き手を困らすことは出来ない。