素イデアル
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[編集] Introduction
素イデアルは、環のイデアルで、ある条件を満たすものである。 歴史的には、素数(素元)の概念の拡張として出てきたものである。 概形(スキーム)の理論は、図形の上の関数の成す環から下の空間を構成する というideaがもとになっているが、その時に、その環の素イデアル 1つ1つが、下の空間の点に対応する。
[編集] 定義
環Aの真の(即ち、A と異なる)イデアルPが素イデアル であるとは、
が成立するときを言う。通常、素イデアルはアルファベットので表す。
以下、環は全て単位元を持つ可換環とする。この場合が 特に大切である。
このとき、上に挙げた素イデアルの定義は以下の条件1,2のどちらとも同値である。
が 成立する
特に条件の1から、任意の極大イデアルが素イデアルである ことがわかる。なぜなら、イデアルmが極大イデアル であるための条件は、A / mが体であることだから。
[編集] 具体例
- 整数環Zにおいて、素数pの倍数全体
が成すイデアル。一般に、環Aにおいて、 その素元pが生成するイデアルpA は素イデアルになる。これは逆も正しい。
- 一般に、A,Bを環、
を環の準同型としたとき、fによる、B の任意の素イデアルの引き戻しは、Aの素イデアルになる。
[編集] 定理
Aを環Rの固有のイデアルとする。Aが素イデアルであるためには商環R/Aが整域をなすことが必要十分である。
[編集] 関連項目
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