発明家
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発明家(はつめいか、inventor)とは、発明をおこなう人のこと。一般に発明を職業とする人に対して使用されるが、そうでないこともある。
発明とは、それまで世になかった新しいものを、考え出したり作り出したりすることであり、一般に、発明家とは積極的にそれまで世になかった新しいものを、考え出したり作り出したりしようとしている人をいう。消極的に、つまり、結果的にそれまで世になかった新しいものを作り出した場合でも、世の中に大きな貢献をしたものでそれが非常に独創的な場合に、世間から「発明家」とよばれることもある。
特許という概念が法律で認められている多くの国において現代の発明家の多くは特許料による収入で生計をたてたり、生計の一部にあてたりしている。生計の糧としている場合、概して、一つの特許による特許料だけでは生計は継続しないため、日々さまざまな工夫をこらし複数の特許を出願することにより特許権獲得を目指して活動するのが一般的である。副業あるいは趣味として発明を行う人、特許料や特許権を求めない人のなかで発明家とよばれる人もいる。発明家とは個人に対する呼称(呼び名)として使われる。企業に属した活動でも、多くは特許に貢献しその独創性が際立っている場合、また社会からその商品などの独創性が際立っていると賞賛され、そこにある個人が大きく貢献している場合には、その個人が「発明家」とよばれる。一方で、真に独創的なもの、有用なものを発明していると言えるのか疑わしいと外部から評価される人物が、自らを「発明家」と名乗る場合には、第三者からは「自称発明家」と評されることもある。
特に抜きん出た質・量の発明物を作り出す者を発明王(はつめいおう)と呼ぶ。有名な発明王としてアメリカ合衆国のトーマス・エジソンなどが挙げられる。エジソンは、技術的に全く新しいものを作り出したことではなく、いままで発明された技術を組み合わせて、真に人々に役立つものに昇華させた貢献が大きい。これは技術的には再発明と評されることもあるが、世間一般の目にふれる意味ではそれまで世になかったものであり、『発明王』とは、大衆の観点からの数々の発明への評価である。これは、貴族階級社会であった欧州に対して、平等意識の進展していた米国での大衆の側からの賞賛でもある。(本物の王様のいない米国では『xxx王』の表現が多用される背景もある。) エジソンは、自身の発明を20世紀初頭の米国における新たな産業へと結びつけたこと、その結果として多くの人々に影響を与え大きな貢献をしていること、でも評価されている。この意味では、新たな産業に貢献した人物であり、「発明は産業の進化に貢献するもの」であり、産業への貢献度合いが、結果的に特許収入に結びつくことから、発明家という言葉が「単なる発明家」を超えた意味をもつようになった。
[編集] 発明者
日本の特許法では、発明をした人のことを発明者(はつめいしゃ)という。発明者は原始的に特許を受ける権利を有する(特許法第29条1項柱書き)。
日本の著作権法では、法人による著作物の創作(法人著作)を認めているが、特許法では、発明者は常に人間(自然人)であり、法人による発明(法人発明)を認めていない。特許を受ける権利は法人を含む他人に譲渡することができると定められており(特許法第33条第1項)、使用者等は職務上行った発明を発明者である従業員から承継することを勤務規定などによってあらかじめ定めておくことができる(特許法第35条第2項)。詳細については、職務発明を参照。 なお、米国では、特許出願ができるのは発明者に限定されている。使用者などの法人は「譲受人」として登録しておくことで、特許になった時点で「特許権者」になることができる。