環形動物
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環形動物門 | ||||
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ミミズの一種 Lumbricus terrestris |
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分類 | ||||
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綱 | ||||
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環形動物(かんけいどうぶつ)とは、環形動物門に属する動物の総称である。 ミミズ、ゴカイ、ヒルなどが環形動物に属する。 陸上、海中、淡水中と広い範囲に生息しており、体長は0.5mm程度~3mに達するものまで多岐にわたる。
[編集] 環形動物の特徴
- 環状の体節が直列に並んだ構造をしている(体節制)。体節の構造は基本的にはどれも同じで、頭部以外の体節には、それほど大きな差はない(同規体節制)。なお、節足動物とは異なり、環形動物の体節は、内部の体腔をも区分している。
- 循環系をもち、緑色色素のクロロクルオリン(ケヤリムシなど)または、赤色色素のエリスロクルオリン(ミミズ)、エリトロクルオリン(ゴカイ)、ヘモグロビン(ヒル)によって、体内の酸素運搬を行う。ただし、心臓はもたず、弁のある血管自体が収縮することで血液を循環させている。
- 脳神経節と腹側神経索からなる、比較的良く発達した神経系をもつ(はしご状神経系)。
- 体には骨格等はなく、柔らかい。えらかまたは皮膚で呼吸する。海産または淡水産、及び湿った土壌中に生息し、乾燥した陸上で生活するものは少ない。
[編集] 分類
一般に多毛類・貧毛類(ミミズ類)・ヒル類の3つの群をこれに含め、それぞれを綱として立てる。このうちで多毛類がもっとも環形動物の形の基本に近いものと考えられる。貧毛類とヒル類は、外見的にはより単純であるが、内部構造では体節の分化も進んでいて、より発展的なものと考えられる。
他に吸口虫類・あるいはムカシゴカイなどを原始環虫類としてそれぞれを独立した綱と認めて立てる場合があったが、現在ではこれらは多毛類の一つと見なされることが多くなった。ユムシ類も環形動物の1つの綱として位置づけられていたが、現在ではこれはむしろ独立した門と見なされることが多い。ただし、環形動物とは近縁であると考えられている。
他に、有髭動物は特殊な構造の動物として有名であるが、近年ではこれも多毛類の1つと考えられることがある。
- ミミズ、ヒル類は雌雄同体だが、他の環形動物は雌と雄の区別がある(雌雄異体)。
- 海洋性のいくつかの種にはトロコフォア幼生になるものもある。