球審
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
球審(きゅうしん、英:plate umpire)とは、野球の審判員の1人である。主審(チーフアンパイア)と呼ばれることもあるが、誤りである。野球において主審とは、その試合における審判団の責任者であり、主審が球審であるとは限らない。
目次 |
[編集] 概要
球審は、通常は捕手の後方に配置されるが、単独審判制で審判を行う場合には、状況に応じて、投手の後方に位置することもある。球審は試合を司る重要な役割を担い、その任務は、投球の判定や打者に対する判定、競技の進行に関わる宣告など多岐に渡る。特に投球の判定は、1試合につき200球~400球ほどに及び、膨大な集中力と持久力が要求される。また、投球やファウルボールが球審の身体に当たることも珍しくなく、他の審判員と異なり、怪我防止のために防具を装備する必要がある。
[編集] 任務
球審は野球の審判員として塁審とともに、タイム、ボーク、インフィールドフライ、反則投球などによるボールの汚損の宣告、その他、ルールの適切な適用を行う権限が与えられており、これを遂行する任務がある。さらに球審としての任務には、以下のようなものがある。
- 試合の進行に関する全ての権限を持つ。
- 競技の開始または再開する際の「プレイ」の宣告。
- 試合を終了する際の「ゲームセット」の宣告。
- 没収試合(フォーフィッテッドゲーム)の裁定。
- 選手の打順及び守備位置の発表。
- 選手交代の受付・発表。
- 投球の判定…ストライクまたはボールの宣告とそのカウント。
- 打者に関する全ての判定…死球や反則打球の判定など。
- 内野の打球の判定…ファウル、フェアなど。
- (原則として)本塁上におけるプレイの判定。ただし、打球や走者の状況に応じて、本塁以外の塁での判定を行うこともある。
[編集] 用具
球審に限らず、野球の審判員を行う際には、
- カウントを数えるインジケーター
- 塁を掃くブラシ
- 審判靴
- 各野球連盟などが主催する試合では、その連盟を表すマーク(ワッペン)
などが必要である。球審ではこれに加え
- マスク(喉を保護するスロートガードつきが主流)
- 肩、鎖骨、胸、腹までをガードするプロテクター。アマチュア野球ではアウトサイドプロテクターが主だったが、フォーメーション変更に伴い1999年頃からインサイドプロテクターが主流となっている
- 急所を保護するカップ
- 膝下のレガース
- ボール袋
- 審判靴。球審が履く審判靴は、靴の先端が安全靴のように固い仕様になっているもの
- 審判帽。球審はマスクを付け、咄嗟の時には素早くこれを外さなければならないので、塁審に比べツバが短いものを着用する
などが必要となる。ただし野球のレベル、硬式・軟式の違いなどによってはこの中から省くものもある。
[編集] 球審の服装
- プロ野球では、球審だけ違う審判服を着ている事が時々ある(例えば球審は半袖シャツだが塁審はブルゾン、という風に)。全審判員が同じ服装で試合に臨むのが原則だが、春先や秋頃の特にナイターでは、球審はインサイドプロテクターを装着することにより暑さ・寒さの感じ方が変わる上に、個人によって暑がり・寒がりがいる。よってその日の天候や気候、個人のコンディション等を参酌し、球審は最も審判しやすい服装で臨んで良いという申し合わせがなされている。春の甲子園大会でも球審はシャツやブレザーを着用するのに対し塁審はVジャンやセーターということもあるが、これも上記理由からきている。また夏場でも、よくセリーグで見られる球審は水色シャツだが塁審は黒色シャツ、あるいはその逆という事も見られるが、これも上記理由からきている。
このスタイルはプロ野球のみならず、上にも述べたとおり高校野球や軟式野球と言ったアマチュア野球にも急速に広まってきている。