狼と香辛料

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作家

『狼と香辛料』（おおかみとこうしんりょう）は、支倉凍砂/著、文倉十/イラストのライトノベル。電撃文庫刊。第12回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作。『このライトノベルがすごい!2007』で堂々の一位を獲得する。ファンタジーにありがちな剣や魔法が登場せず、ファンタジー世界での経済に重点が置かれているという異色作。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] あらすじ

旅から旅へ各地を巡り、物を売り歩く行商人として生きるクラフト・ロレンス。収穫祭に沸くパスロエの村を行商に訪れたロレンスはその帰り、自らの荷馬車にとんでもないモノが入り込んでいたのを見つけてしまう。パスロエで仕入れた麦束に混じって眠りこけていたのは、獣の耳と尻尾をそよがせる美しい少女だった。

自らを『ヨイツの賢狼』ホロと名乗り、パスロエの豊作に長いこと手を貸していたと嘯く少女。前脚だけとは言え狼としての姿まで見せられたロレンスは、ホロの素性を訝りながらも「遙か北の故郷に帰りたい」と願う彼女を旅の道連れとすることになる。

賢狼と行商人の軽妙洒脱な掛け合いに彩られた、彼らの行商模様と道中での様々な事件を描く「剣も魔法もない」ファンタジー・ストーリー。

[編集] 登場人物

クラフト・ロレンス

各地を巡り旅に生きる、25歳の行商人。ひょんな事から「賢狼」を名乗る少女、ホロを旅の道連れとした事が彼の孤独な行商人生の様相を少しばかり変えることとなった。ホロの老獪な言動に翻弄されながらも、言葉を交わし事件を共に乗り越える事で少しずつ「計算高い商人」だけでない様子も見せるようになる。
商人として頭の切れる方ではあるが迂闊なミスを犯してしまう事もあり、ホロに一度ならず知恵を授けられた事も。道中の会話の主導権も大抵ホロに握られっぱなしで、何とか一泡吹かせようと試みるがことごとくあしらわれて「かわいい子」扱いされるなど、頭脳の切れを作中ではなかなか見せられない主人公である。将来の夢はどこかの街に自らの店を構えること。

ホロ

狼の耳と尻尾を持つ少女。自らを『ヨイツの賢狼』と名乗り、パスロエの麦に宿って豊作をもたらして来たと嘯く。パスロエでロレンスが仕入れた麦束に宿ることで村から脱出を図り、なし崩し的にロレンスの行商の旅に同行することとなる。「賢狼」を自称するだけあり言動は冷静かつ老獪で、年経たモノに相応しい風格ある智慧でたびたびロレンスを救うが、長く故郷から離れて独りでいた事からか孤独には脆い一面も見せる。
15歳ほどの可憐な少女の姿であるが、「わっち(=私)」「～でありんす」と言った古風に思える言葉遣いも特徴的。ロレンスと共に様々な事件に遭遇しつつも、道中の相棒を様々にからかったり、逆に現代知識の差でやりこめられたりと軽妙な会話を繰り広げつつ、遙か北の地にある故郷「ヨイツ」に向かう旅を楽しんでいる風である。美味しい食べ物と酒には目がないらしく、特に林檎が好物の模様。
何よりの自慢が美しい毛並みの尻尾で、ノミ取りから櫛梳きまで常に手入れを怠らない。美味い食べ物とこの尻尾を誉められることに弱いようだ。