狩衣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
狩衣(かりぎぬ)は平安時代以降の公家の普段着。もともとは狩の時に着用したのでこの名前がついたが、活動的であることから日常生活でも好んで着用されるようになり、次第に普段着として定着した。その後、時代を経るに従って公服としての色彩を増し、武家の礼服ともなった。ただし、狩衣姿での参内(御所への出入り)は一切認められなかった。現在では、神職の常用服となっている。
狩衣装束の構成は、下着を着て指貫(あるいは差袴)をはき、狩衣を着るだけである。礼式の際は狩衣の下に単を着ることもあるが、通常は略す。また、立烏帽子をかぶる。
普段着という性質上、狩衣の色目・紋様は全くの自由である。ただし、禁色(天皇など高貴な人の専用色)は避けられた。指貫の色も基本的には自由であるが、若年者は薄い色を、年齢を経るに従って濃い色をはくのが一般的であった。
なお、白色の無紋狩衣・無紋指貫の形を「浄衣(じょうえ)」といい、専ら神事に用いられた。
[編集] 形状
直衣と同じ立首で袖の広い衣装だが、脇を縫い付けず腕の上げ下げがし易くなっている。 袖には「袖くくり」と呼ばれる紐が通してあるので、紐を引けば巾着のように袖口が狭まった。