炬燵
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炬燵(火燵、こたつ)とは、日本の暖房器具のひとつ。 熱源(古くは木炭、豆炭、練炭、現在は電気装置)の上に櫓(今は炬燵机ということが多い)をくみ布団(こたつ布団)を掛けたもので、布団の中に足をいれ暖をとる。
床を数十cm下げて足を曲げられるようにした掘り炬燵(切り炬燵ともいう)と、床が平面のままの置き炬燵に分けられる。
[編集] 歴史
禅宗の僧侶により中国からもたらされたとされる行火(安価)が起源といわれている。当時は掘り炬燵であった。
室町時代には「火闥」、江戸時代には「火燵」と表記された。なお、燵は国字である。
火鉢とともに日本の冬には欠かせない暖房器具として発達した。
寺院や武家では火鉢が客向けの暖房器具で炬燵は家庭用であった。そのため「内弁慶」という言葉から、家庭向けの炬燵から出ようとしない引っ込み思案なことを表すのに「炬燵弁慶」という言葉が派生した。江戸時代中期には、置き炬燵が登場した。
戦後、高度成長時代になって赤外線を熱源とした電気炬燵が登場し、主流になっている。
現在は、冬場の暖房器具としてだけではなく、夏期にはこたつ布団をはずしちゃぶ台代わりとして通年利用されることが多い。そのため暖房器具ではあるが、通年商品となっている。このように、炬燵布団をはずした場合座卓に見える炬燵を、電化製品業界では家具調炬燵といい、家具業界では暖卓と呼んでいる。家具調炬燵(暖卓)の普及により、形状の主流は、正方形から長方形になりつつある。
[編集] 文化
- 座って入ったままの体勢が続くので机上にミカンなどをおくことが多い。
- 炬燵に入ってテレビを見ながら正月を過ごすことを「寝正月」という。
- 炬燵と一体化して生活することを、「かたつむり」をもじって俗に「こたつむり」と呼ぶことがある。
- ネコは炬燵の中で丸くなるといわれる(唱歌『雪』より)。実際にはネコが丸くなるのは寒いからであり、炬燵の中のネコが丸まるという習性があるわけではない。炬燵の上で丸くなっている絵が描かれることもある。
- 長時間入っていると、脚が低温やけどになるおそれがある。
- 掘り炬燵はかくれんぼの格好の隠れ場所であるが、昔は練炭などを熱源としていたため、一酸化炭素中毒事故がしばしばおきた。
- 以前は、天板の裏がラシャ張りになっており麻雀卓として利用されたが、麻雀人口と正方形の炬燵がともに減少したため、この風俗をみることは稀になっている。