清書
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清書(せいしょ)とは、原著作者による手書きの原稿を、誰でも読みやすい書式に、手書きまたはワープロなどで書き写すこと。
[編集] 内職としての清書
副収入が得られるという触れ込みで清書作業を行わせようとする内職商法が存在する。著名な書道家が毛筆等で行う場合は単価もそれなりに高くなる傾向にあり(筆耕と呼ばれる)、安定した職業として成立する可能性も高くなると考えられる。しかし、書道家による清書は芸術の範疇というべきであり、本稿における内職とは一線を隔するものである。
受託者は、契約の際、数万円程度の業務手数料・保証料などの名目の委託業者側への費用負担を求められる。契約後、原稿を渡され、それを指定された用紙に指定された形式で、手作業で書き写すのである。報酬は、出来上がった原稿をもとに出来高払いとされる。
実際には、手書き原稿の清書という需要そのものが寡少に過ぎず、この内職自体がもはや存在し得ない。原著作者が手持ちのパソコン(ワープロ)で原稿を作成しメールで編集者宛て送信することにより、そもそも清書の必要がなくなる。原著作者が手書きに固執する場合、その原著作者が高名な文筆家であれば専属編集者が清書(パソコン入力)を受け持つのであり、一般の手書き原稿に関しては、清書が必要なほどその原稿が常識に反した書式であればそもそも編集者に相手にされず、内容の検討をするまでもなく別途清書をさせる価値などないものと判断されてしまう。また、原稿の秘密を守る観点からも、外部に秘密を持ち出すことになる業者経由内職委託の可能性はない。
被害相談としては、契約上の報酬が支払われないという例が典型である。これは、前記のとおり、清書自体が業態として存在し得ないことによる。内職商法としての委託業者側は、業務手数料・保証料名目で納入された金銭を収益源としており、報酬がそれら事前負担金を上回ることはない。本項の清書内職は、特定商取引法にいう業務提供誘引販売取引であり、法定書面の受領日から20日間のクーリングオフが認められる。被害防止のためには早期にクーリングオフを行うのが肝要といえよう。