洛陽伽藍記
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洛陽伽藍記（らくようがらんき）５巻は、中国の東魏の楊衒之が撰した、北魏の都・洛陽における仏寺の繁栄の様を描いた記録。
但し、東魏の時代には、北魏末の混乱によって都の洛陽は廃墟と化しており、寺院もまた見る影も無く荒廃していた。撰者の楊衒之は、既に失われてしまった往時の盛況を後世に伝えんがために、本書を執筆しようとしたと、その自序で述べている。
[編集] 構成
その構成は、全体で５篇に分けられている。
- 第一篇・城内
- 第二篇・城東
- 第三篇・城西
- 第四篇・城南
- 第五篇・城北および宋雲・恵生の西域遣使の事
の全５篇である。
各項は、全体では1,000寺余りもあったという諸寺中より、中心となる大寺を選んで、寺名・創建者・城坊あるいは位置、さらには、四隣や寺中の様子、故事などを記している。また、その記述は、単に寺院に関する事柄にとどまらず、当時の官庁や風俗・地理、人物や政治上の事件、伝聞などにも及んでおり、「魏書」と合わせ見ることで、北魏史を理解する上での重要な一次史料ともなっている。
また、北魏仏教史・寺院史、洛陽の都城史上の史料であることは言うまでもない。最後の第五篇の宋雲・恵生の記事は、東西交渉史の史料である。
[編集] 版本･注釈書
ただ、本書は本来、撰者楊衒之の書き方として、本文と自注との二構成であったのだが、後世になって諸版の間で混乱を招く結果となってしまった。よって、「四部叢刊」や「津逮秘書」、「学津討原」等に収める版本も、甚だ読解困難なテキストであった。そこで、近代になって諸家による校勘本が刊行され、その不便を補っている。
注釈も備わっており、また読みやすい体裁をとっているのは、周祖謨による「洛陽伽藍記校釈」（北京 : 科学出版社, 1958年）である。また、日本語訳としては、入矢義高訳の平凡社「中国古典文学大系」21所収本がある。
