標本化定理
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標本化定理(ひょうほんかていり: サンプリング定理とも)は情報理論分野で、非常に重要な定理として知られており、アナログ信号をデジタル信号へと変換する際に、どの程度の間隔で標本化(サンプリング)すればよいかを定量的に表すものである。
[編集] 概要
標本化定理は、原信号に含まれる周波数帯域幅を f とすると、2f よりも高い周波数 fs で標本化すれば、原信号を完全に復元することができるということを示している。たとえば原信号に含まれる周波数が直流(周波数0Hz)から最高で f=22.05kHz だった場合、fs=44.1kHz よりも高い周波数で標本化(1秒間に44100回超、値を取得)すれば、原信号を完全に復元することができる。この周波数が2fの時の周波数を「ナイキスト周波数」と言い、ナイキスト周波数の逆数を「ナイキスト間隔」と言う。
標本化周波数が 2f 以下であった場合、原信号にはない偽の周波数 fs-f がエイリアス信号として、復元信号に現れる。よって、アナログ信号のデジタル化においては、ナイキスト周波数 2f よりも高い周波数で、標本化を行わなくてはならない。
[編集] 歴史
標本化定理は1928年にハリー・ナイキスト(Harry Nyquist)によって発見され、1949年にクロード・E・シャノン(Claude E. Shannon)と日本の染谷勲によってそれぞれ独立に証明された。そのため「シャノンの符号化定理」とも言われる。