楽曲分析
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楽曲分析(がっきょくぶんせき)とは、楽曲を分析することである。アナリーゼ(ドイツ語のAnalyse(分析)からきていると思われる)ともいう。
いろいろに定義されるが、一般的に楽曲がどう作られているか知る学問であるといえる。分析の方法論には多種多様があるが、本来欧米では音が最終的に一つ一つになるまで完全にばらしてから、すべてに説明がつくように徹底し、再構築しながらすべての組み合わせを論じるので、現代音楽の場合は一曲の為にゆうに半年かけることもまれではない。
[編集] 古典的な分析
古典的な分析では、メロディーや動機の状態の説明から始め、次第にその発展や経過を言葉で説明し、必要があれば音譜を表に書いたり、グラフにしたりしてわかりやすく示すのが重要な点である。次にそれに付く伴奏系の和音構成や和音連結・機能・非和声音などを説明し、ポリフォニーがある場合はそのフガートやカノンなどの配置・変形の説明をし、最後には全体的な構成にまで話を持っていく。これもできるならば図形化して説明するのが望ましい。
[編集] 現代音楽の分析
現代音楽の分析では、まず音の高さがなんで出来ているのか、五音音階か、多調か、12音列か、単なる無調形か、偶然か、モードなどによるものか、不確定の音程か、倍音スペクトルか、フィボナッチ数列か、旋法によるものか、クラスターか、ノイズのみの構成か、微分音によるものか、グリッサンドか、12平均率以外かなどを説明しなければならない。特にセリエル系の12音列は色を使って表にするのが最も望ましい。次に音の長さ・強さ・音色。方向などはセリエル音楽の場合は当然組織化されているので、最初の音高同様に表にしそのパラメーターどうしの係わり合いを示す。また別に和音構成によるものはその音の組み合わせが何から来ているものか完全に明確にしなければならない。また様々なリズムや強弱・音色などの組み合わせによるキャラクタ―などもここでは明らかにしなければいけない。次にその部分の小さな構成を理解し、次第に全体的な形式への説明にと言述する。
またノイズによる場合は、なぜ雑音を使うのかを明らかにしてから始め、変奏や変容があるならばどの部分がどのように変化されたか、付け足されたか、省略されたかを明白にする。
更にケージやテニー・フェルドマン、パーチ、アイヴズ、カウエル、ヤングやミニマル・グループ、シュトックハウゼンの一部・シュネーベル・シュルホッフなどのアイディア系音楽は、音の構成よりも寧ろその考えに至った経過をきちんと理解するのが何よりも先決である。これらの音楽は楽譜による直接の分析力よりも遥かに哲学的思考が求められる。