森林浴
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森林浴(しんりんよく)は、樹木に精神的な癒しを求める行為。近くの公園や林を散歩する程度から登山やキャンプ、植物園見学まで幅広く森林浴に含まれる。日本では昭和57年に当時の林野庁などによって提唱され、長野県の赤沢自然休養林が発祥地とされる。
2004年以降、森林浴の効果を科学的に検証し予防医療などに役立てる取組みが始まっており、林野庁・厚生労働省・各研究機関や大学・企業などが「森林セラピー研究会」を組織して研究を進めている。
[編集] 森林浴の効果
森林浴の効果は科学的なものより精神的なものが大きいといわれてきた。 科学的な効能としては樹木が発散するフィトンチッドと呼ばれる物質が作用しているとされる。特にマツ、ヒノキなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が多く、免疫力の向上などに寄与することが実証されつつある。
- 森林の空気は排気ガスなどが含まれる都市部の空気より体に優しい
- 樹木の香りが心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらす
- 枝葉のさわめきが1/fの揺らぎを持っているので気持ちが安らぐ
- 日常と離れた場所にくることにより雑念を忘れられる(転地効果)
近年では、脳波測定・反応速度・唾液中ストレスホルモンの濃度・心拍の変動・心理的調査などを用いたリラックス効果などの定量化が試みられており、森林浴が人間に与える影響の科学的根拠が示されつつある。
また都市部のいわゆる「お疲れサラリーマン」を被験者とした実験では、森林浴翌日の採血・採尿で生理的な変化を調査した。その結果、2泊3日の滞在によってNK細胞活性が52.6%向上したことが確認され、同時に抗がんタンパク質の濃度も上昇していることが確認された。医療行為に至るまでには臨床事例が圧倒的に不足しているが、将来はがん予防、健康増進などへの活用が期待されている。
これらの結果は森林セラピーの実施地の選定などに利用され、2006年4月には全国で10カ所の森林が「心身の改善効果をもたらすことが科学的に証明された森」として発表された。現在、同様の調査が各地の森林で進められており、将来的には全国数十の森で健康増進のメニューが展開される見通し。なお国内の森林セラピーは、「クナイプ療法」(ドイツバイエルン州のバート・ウェーリスホーフェン市が発祥地といわれる)などをモデルとしている。
出典:宮崎良文「森林浴はなぜ体にいいか」(独)森林総合研究所 文春新書 2003
李卿「森林浴がヒトNK細胞を活性化させる」 日本医科大学 2005
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 森林セラピーポータル - 社団法人 国土緑化推進機構