有毒温泉
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有毒温泉(ゆうどくおんせん)は、北海道上川支庁管内上川郡上川町(旧蝦夷地、明治以降の旧石狩国)にある温泉。大雪山国立公園内のお鉢平カルデラの底部に位置する。
有毒温泉の名前の由来は、温泉とともに、強力な毒性を持つ硫化水素ガスが噴出していることによる。
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[編集] アクセス
層雲峡温泉の温泉街からロープウェイを利用し、黒岳5合目でリフトに乗り継ぎ、黒岳7合目からは徒歩約1時間で黒岳頂上。
そこから徒歩30~40分で、お鉢平一周登山道の北海岳ルート・北鎮岳ルート分岐点に到達。さらに分岐点から徒歩30~40分でお鉢平展望台(北鎮岳への分岐点)に到達。そこからお鉢平の底部を眺めるのが一般的である。
後述するように、お鉢平内部は、有毒温泉から強力な毒性を持つ硫化水素ガスが噴出するために立ち入り禁止となっているが、時々、悪天候などにより登山道から外れてお鉢平の底部に迷い込む登山客などがいるという。
[編集] 泉質
かつて学術調査が行なわれた際に、3箇所から高温の温泉が湧出していることが確認された。
- なお、2006年7月時点での源泉は、カルデラ壁から見下ろせばカルデラ底から黄色い水が湧いているのが見える(写真参照)。何らかの温泉成分が湧出していると推察されるが、観察できない。また、湧き出し部分周辺約百mは一木一草も生えていない。
また、お鉢平から流れ出す赤石川の水は、源流が有毒温泉付近であるため、飲用することはできない。
[編集] 温泉地
宿泊施設はなく、浴槽などもない。アクセス道もない。温泉が湧出している場所に、天然の湯だまりがあるのみの野湯である。
温泉とともに、強力な毒性を持つ硫化水素ガスが噴出しているため、立ち入り禁止となっている。しばしば、温泉から噴出する硫化水素ガスの中毒により倒れたヒグマやキタキツネなどの野生動物の死体が見かけられるという。
また、昔、悪天候などにより登山道から外れてお鉢平の底部に迷い込んだ登山客などが、この温泉の湯だまりで入浴中に硫化水素ガスにより中毒死したこともあるという。