星空を守る会
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星空を守る会(ほしぞらをまもるかい)とは、ライトアップしている施設や生態系に影響を及ぼしている屋外照明、電力の無駄の多い屋外照明に対して改善を要求する老舗的な団体。民間団体だが、独立行政法人である国立天文台との深いつながりを持つという、特異な経緯を持つ。
屋外照明に対する消灯を呼びかける際、呼びかける側になんらかの損害が存在するとき、星空を守る会名で呼びかけられる。逆に言うと「エネルギーの節約による温暖化の防止を目的として、ライトダウンを呼びかける」等、純粋に動機がエコロジー思想のような信条的傾向が強い場合、現実にはより大きな反響が得られる場合が多々あるが、何を言いたいのかを区別するため、この会の名称を使わないという慣例ができている。従って星空を守る会という名が出たとき、ライトアップしている側と、それをやめさせようとしている側との間には、何らかの実質的な利害上の対立があると言う、指標になっているとも言える。この性格は問題の中身を第3者が推定するのに、かなり役立つかもしれない。
星空を守る会はその実績において、類似名称の日本星空を守る会や、岐阜夜空を守る会に必ずしも勝るとはいえない。が類似名称の団体とは、上記のようにして区別する事ができる。むろん参画者の中には複数にまたがる団体で、幅広く活動している者もいる。
現在の星空を守る会は、スイフト=タトル彗星が発見される少し前の1990年頃、アマチュア天文家の藪田徹と現会長の古在由秀らが、当時の鈴木俊一都知事に、知事の始めた東京都庁のライトアップの中止を要求し、都庁の担当に面会を求めたときに始まる。当時は会が何者かがはっきりしない面があった。がその後、現事務局の天体捜索家の大友哲が加わり、更に国立天文台天文情報センター広報室長の渡部潤一助教授が、一時期これに参加して、大きな彗星の接近、木星に衝突する彗星の出現のたびに、ライトダウンを呼びかける活動を繰り返した結果、この会の方向がほぼ定まったとみられる。
なお2005年10月現在、この会は会長を元国立天文台台長の古在由秀が、事務局を小惑星捜索家の大友哲がつとめる。また、アメリカのアリゾナ州ツーソン市に本部のある、インターナショナルダークスカイアソシエーションの日本支部も兼ね、古在由秀および民間企業勤務の内田重美がサポートしている。なおツーソン市は、キットピーク天文台に最も近い町として有名である。
ちなみに会長の古在由秀が、かつて代表をつとめた事のある国際天文学連合には、天体観測環境を問題にするセクションがあり、元国立天文台の磯部琇三がそこを舞台に活動し、インターナショナルダークスカイアソシェーション日本支部としての活動を、かなり支援していた事がある。