摩耗
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摩耗(まもう、wear)とは、表面を接しながら相対運動する物質の一方あるいは双方の表面における逐次減量を意味する。磨耗とも。
摩耗の種類については諸説あるが、現在ではその機構に基づいて
- 凝着摩耗
- 切削摩耗
- 疲労摩耗
と分類する場合が多い。なお、これらの機構についても未だ学会レベルで議論がなされている状態である。
なお摩擦する表面は、通常、見かけ接触面積より非常に小さい真実接触部(見かけ接触面積の1/1000以下となることも多い)で接しており、その部分は摩擦に伴い極端に高い圧力・温度に曝される。そのため、通常では生じないような化学反応を誘因することがあり(トライボ・ケミカル反応)、その化学反応により表面が減量する摩耗も存在する。
また、表面の化学反応は不動態に代表されるようにある深さまで進展した段階で反応速度が極端に遅くなる場合があるが、こうした表面が繰り返し摩擦に曝されると、反応生成物が取り除かれて母材が新生面として露出し、表面の逐次減量(=摩耗)が進行する場合がある。この摩耗は「腐食摩耗」などと称される。
その他、振動を受けるネジの締結部等が多量の細かい黒色摩耗粉を生じて摩耗する「フレッチング」、粉を気体を媒体として輸送する場合に粉が輸送パイプ等の壁を摩耗させる「エロージョン」等の摩耗形態も存在する。
対象材物質の性状、荷重や速度などの力学的条件、温度などの化学的条件の影響を敏感に受け、容易に何桁も摩耗量が増減するなど、その予測が難しい現象である。