川の深さは
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『川の深さは』は、日本のスペクタクル小説で有名な福井晴敏の第一作。
第四十三回江戸川乱歩賞に応募された作品なのにも関わらず、修正・改定がなされ、刊行は『亡国のイージス』刊行の後になった。2000年8月に講談社から単行本、2003年8月15日に文庫が刊行された。
[編集] 内容
「彼女を守る。それがおれの任務だ」そう言う傷だらけの少年。彼をかくまった元警官は、彼との交流を進めるうちに「底なしの川」に巻き込まれていく。その中で元警官はこの国の暗部を目にしつつ、かつて持っていたが現在失っていた熱いものを取り戻していく。
なお、福井晴敏にとってはこの作品が本来の処女作となったこともあるのだろうが、「Twelve Y. O.」「亡国のイージス」と続く作品への舞台設定の土台(「Twelve Y. O.」に出てくるコンピュータウイルス、両作品に出てくる防衛庁情報局のいきさつなど)を見て取ることができる。登場人物も、本作と「Twelve Y. O.」と「亡国のイージス」で一部がリンクしている。 また、福井自身がガンダムの大ファンであるためか、『新機動戦記ガンダムW』の主人公ヒイロ・ユイと酷似した人物も登場し、同じ台詞を口にするシーンなどもある。
[編集] 登場人物
- 桃山剛(ももやま つよし)
元マル暴刑事。ある事件がきっかけで、刑事を退職。44歳の現在は亀戸でグーダラ警備員。増村保や須藤葵との出会いがきっかけに日本国の暗部、「底無しの川」へと引き込まれていく。情熱過多。
- 増村保(ますむら たもつ)
20歳前後。葵を守る任務を背負っている。葵を守るためなら何でもする。人を信じないが、桃山には信頼を抱いている。葵を守り抜き、任務を完了するが、死亡する。情熱過多。
- 須藤葵(すどう あおい)
20歳前後。黒髪で華奢。在日朝鮮人。保と共に逃避行している。保の子を身篭っている。
- 城崎涼子(しろさき りょうこ)
佐久間の秘書。昔、大事な人を失い、その人と佐久間を重ねている。
- 佐久間仁(さくま・ひとし)
保に命令を下した人間。冷酷。保を追い掛けるが、最後は死亡する。
- 金谷稔(かねや みのる)
昔、桃山に助けられたことがある為、桃山を信頼している。在日朝鮮人の恋人と共に北朝鮮へと亡命する。
- 夏生由梨(なつき ゆり)
佐久間の後を継いだ井島の秘書。本書の次の作品といえる「Twelve Y. O.」に深く関わる。
- 井島一友(いじま かずとも)
佐久間の後任。定年が近い。