宮崎友禅斎

宮崎友禅斎（みやざきゆうぜんさい）とは、江戸時代前期から中期に掛けての京都で活躍した扇絵師。花鳥画や源氏物語の姫などの人物画を得意とし、友禅の考案者として有名。来歴不明で出家であったことぐらいしか解っていない。

いつのころからか京都は知恩院前に住居を構え「友禅」と号した友禅斎は、天和ごろ源氏物語の名場面を鮮やかに書いた扇絵が通人に受け名声を博した。扇絵師という職業柄特に顔料に親しんでいた友禅斎は顔料化した染料を用い、扇絵の上品で華やかな文様を自在に描き出す手法で新感覚の小袖を生み出す。

名声を不動のものにした友禅斎は正徳二年頃、加賀の藩主である前田家の招待を受けて金沢で加賀友禅の発展に力を尽くしその地で没した。

[編集] 友禅染

日本の染め文様の代名詞と成った友禅染だが、糊置き防染を使った染物はそれ以前にもあった。暖簾や法被の染色として知られる筒描きや、武家の奥方達の夏の衣装を彩った茶屋染めがそれだが、従来の技法では多色を扱うことが技術的に困難であった為どちらも通常の衣装装飾としては普及しなかった。

元禄時代、華やかで色鮮やかな花鳥画や人物画を描く扇絵師であった友禅斎は、染料の研究中絵を書く要領で手書き染色をする事を考案し、友禅染の原型を完成させた。その後友禅斎は加賀に移住して技術を伝授し、高度に抽象化された文様を得意とする「京友禅」と絵画的な「加賀友禅」が生まれる。

友禅染は折からの奢多禁止令によって豪華な織物や金銀の摺箔が使えなくなった町人達の美服への欲求を満たすものとして歓迎されたという。友禅の描く文様は時代の風潮を映して伸びやかで華やいだものであり、現在も彼の好んだ文様は「友禅模様」と呼ばれ、京友禅が継承している。