完全自殺マニュアル
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完全自殺マニュアル(かんぜんじさつ- )は、鶴見済の著書。1993年に太田出版より刊行され、100万部を売上げる、ベストセラーになった。同時に著者の鶴見氏は「時の人」となった。
[編集] 概要
- 自殺の方法の説明、分析を行った内容で、この本を元に自殺する者が後を絶たないため、一部自治体においては有害図書に指定されるなど物議を醸した。これに対し著者の鶴見は、読者からの手紙やマスコミのバッシングに答える形で翌年『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』(太田出版)を出版し、事態は沈静化した。良くも悪くも社会的問題となった。
- 2003年には、この本をモチーフとした映画『自殺マニュアル』『自殺マニュアル2』が制作され話題となった。
[編集] 完全自殺マニュアルの記述
完全自殺マニュアルには首吊り・服毒・入水・飛び降り・電車への飛び込み・焼身・手首を切る(リストカット)・凍死・感電・ガス中毒などの自殺手段のほか、見苦しさ・苦痛・致死度・手間などを項目別に髑髏印をつけ実際に自決する時のリスクなどを具体的に記載している。 なお、本書が推奨している自殺方法は首吊りである。
記載内容には読者に自殺を促す項目もそれを阻止する項目もない。あるのは自殺の具体的な手段と、死に至る経過と結果のデータのみである。ただ前書きの項目には自殺に否定的な世の中に「なぜ生きなければならないのか」と言う問いかけがあり、それに誰も答えられない社会の矛盾点も鋭くついている。
[編集] 評価
一部は「自殺者を出した問題作」と完全批判をしている。また一部では「死に向き合う事で“生きよう”と思った」と絶賛しており、問題作に良く見られる「賛否両論」である。しかし両者が上げるのは「なぜ著者はこれを書き、死ぬ権利を主張したのか」であり、『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』ではその問いに答えられていない為疑問が残ったのだ。