学習性無力感
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学習性無力感(がくしゅうせいむりょくかん、learned helplessness)は、長期にわたって、ストレス回避の困難な環境に置かれた人は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという見解。
[編集] 概要
心理学者のマーティン・セリグマン(Martin Seligman)が、1960年代にリチャード・ソロモンの元で学生生活をしていた時期に思いつき、それ以来10年間近くの研究をもとに発表した。
それによると、長期にわたり、抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれた犬は、その状況から「何をしても意味がない」という無力感を学習し、逃れようとする努力すら行わなくなる。
[編集] 症状
長期に渡り、人が監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値がふみにじられるような場面に置かれた場合、次のような徴候が現れるという。
- 被験者は、その圧倒的に不愉快なストレスの中から、自ら積極的にその状況から抜け出そうとする努力をしなくなる。
- 実際のところ、すこしばかりの努力をすれば、その状況から抜け出すのに成功する可能性があったとしても、努力すれば成功するかもしれないという事すら学習しなくなる。
- 何も出来ない、何も功を奏しないという状況の中で、情緒的に混乱をきたす。
人の行動は、良かれ悪しかれ何らかの学習の成果として現れてくるものである、という学習理論を土台とした理論である。拉致監禁の被害者や、長期の家庭内虐待の被害者などの、行動の心理的根拠を説明する理論として、注目されている。
[編集] 参考文献
- クリストファー・ピーターソン、スティーブン・F・マイヤー『学習性無力感 パーソナル・コントロールの時代をひらく理論』二瓶社 2000年